ずっと今のままなんてないんだね~前編~
たくさんの桃のお土産を持って広場に戻ると人魚達が第三地区の皆に魔法石でマッサージをしている。
「これは……攻撃をされている……? でも、気持ち良さそうだし……」
「とめた方が……でも……」
お花ちゃんと熊太郎が動揺しているね。
「あはは。大丈夫だよ? 第三地区の皆はこのマッサージが大好きなの」
「……洞窟の外は不思議な事ばかりです」
さっきも言っていたし、お花ちゃんの口癖になりそうだね。
「ん? お花ちゃんと熊太郎は帰ってきたんか?」
雪あん姉が話しかけてくる。
第三地区の皆もマッサージを終わりにして広場に集まってきたね。
「うん。桃のお土産だよ?」
ついボタンを押しすぎちゃったから大量なんだよね。
「あはは。そうか。ん? お花ちゃんと熊太郎はいい顔になったな」
さすが雪あん姉だね。
気づいたんだ。
「はい。あの……」
お花ちゃんが話しにくそうにしているね。
やっぱり、他に島を創ってそこに住みたいなんて言い出しにくいよね。
「あの……皆さんにお話があります」
熊太郎はあまり話さない感じがしたけど……
真剣な顔で話し始めたね。
「ん? 何だ?」
「わたし達は……ずっと洞窟に二人で暮らしていて……あの……正直不安なのです。皆さんと上手くやっていけるのか……と。それで……ペルセポネ様にお願いをして近くに小さな島を創っていただきそこに住もうかと……わがままを言って申し訳ありません」
「そうか、そうか。自分達で決めたんか。偉いぞ?」
おばあちゃんがガイアの姿から人間の姿に戻っているね。
「えっと……ガイア様……なのですね?」
熊太郎はすぐに分かったんだね。
「そうだぞ? 偉いなぁ。これからは全部自分達で決めて前に進むんだぞ? 誰かに決められた道を……嫌な道を進まなくていいんだ」
「ガイア様……はい。ありがとうございます……本当に……ありがとうございます」
「よし! じゃあ……土の上位精霊にお願いして小さい島を創ってもらおうか。赤ちゃんと楽しく過ごせる素敵な島にしよう?」
これからは誰にも虐げられずに幸せに暮らせるんだね。
「では、家と家具はわたしが作りましょう」
ウェアウルフ族のお兄ちゃんが嬉しそうに言ってくれたね。
「ありがとう。お兄ちゃん」
「あの……それと……もうひとつ大切お話があります」
「え? お兄ちゃん? 何かな?」
「実は……お雪さんとの島が完成しまして……」
「そうなんだね。おめでとう」
二人で少しずつ島作りをしていたんだよね。
「……それで……もうすぐあの者達も来ますから……今がその時かと……」
「え? あの者達? 誰かな?」
「……ぺるみ様……毎日遊びに来ます」
「……え?」
「朝早くにお雪さんと第三地区に来て、夕方……我らの島に戻る。これからは……そうなります」
「……よく分からないよ……あの……どういう事?」
「……幸せの島の……ウェアウルフ族の建てた家から……出て行く日が……来たようです」
お兄ちゃんが幸せの島からいなくなる?
そんな……




