表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

720/1484

お散歩をしながら(1)

「お花ちゃんと熊太郎は、お腹は空かない? 桃が無限に出てくる気味が悪い物があるの。疲れていなければ一緒に行かない?」


 時が動き始めると、何事もなかったように話し始める。

 自然な感じに話せたよ。

 誰も時が止まっていたなんて分からないだろうね。


「気味が悪い物……ですか? それは一体……」


 お花ちゃんが怯えながら尋ねてきたね。


「あはは。ボタンを押すと口から無限に桃が出てくるの。でも『オエッ』ってえずきながらなんだよね……あれさえなければいいんだけど」


「え? ふふ。なんだか楽しそうですね」


「楽しそう!? あはは。じゃあ島を案内がてら桃を食べに行こう?」


 お花ちゃんと、卵を抱っこした熊太郎と一緒にゆっくり歩き始める。


 ベリアルはおばあちゃんがガイアだって知ってもあまり動揺しなかったみたいだね。

 バニラちゃんはベリアルのそんな姿を見てどう思うんだろう?


「こちらの島は広そうですね。皆さんも優しくて楽しい方ばかりですし……まさか、こんな日が来るなんて……」


 お花ちゃんが初めての場所にキョロキョロしながら話しているね。


「これからは毎日が賑やかで、楽しい事ばかりになるよ?」

 

「……はい。とても嬉しいです。ペルセポネ様……」


「ぺるみでいいよ?」


「それはできません……ペルセポネ様は恩人ですから」


「恩人? わたしは何もしていないけど……」


「洞窟から出る勇気が無く、こちらの島に来てからも怯えていたわたし達にペルセポネ様は一番に声をかけてくださいました」


「それは、わたしがお花ちゃん達と仲良くなりたかったからだよ? だから恩人なんて恥ずかしいよ」


「ペルセポネ様は……なぜわたし達を嫌わないのですか? こんな容姿をしているのに」


「わたしにはどうしてお花ちゃんや熊太郎が醜いって言われていたかの方が分からないよ。二人ともこんなにかわいいのに」


「え? わたし達がかわいい……ですか?」


「うん! お花ちゃんは肌がすごく綺麗だよね。瞳も大きくてキラキラで話し方も丁寧で、優しいお姉さんっていう感じだよね。熊太郎は強そうだけどすごく穏やかだよね。しかも花をプレゼントするなんて最高に素敵だし、その話をしている時の熊太郎の恥ずかしそうな顔……ぐふふ。堪らないよね」


「……え? 堪らない……とは?」


 あ、しまった。

 また、やっちゃった。


「あ……あはは。さっきも話したけど……わたしはモフモフと弟のハーピーちゃんを変態的に愛する……ど変態なんだよ。自分で言うのも恥ずかしいけど」


「変態とは……世界を平和に導く言葉ですか?」


「え? 世界を平和に!? そんな崇高な言葉じゃないよ!? むしろ恥ずかしいというか……」


「恥ずかしい言葉なのですか?」


「うぅ……そうなんだよ。でも、わたしはモフモフ好きで変態の自分が好きなの。昨日一瞬ノーマルになった自分が物足りなかったっていうか……」


「ノーマル……? ですか?」


「誰かに迷惑をかけないなら多少の変態は……あ、でもベリアルは嫌がっているし……うーん?」


「ふふ。口では嫌がっていましたが、実際はそれほど嫌そうではありませんでしたよ?」


「ええ!? 本当に!? 口では嫌がっても心では喜んでいるヒヨコちゃん……ぐふふ。堪らないね」


「え? 喜んでいるとは言っていないのですが。あの……それほど嫌そうではないと言ったつもりで……」


「ぐふふ。ベリアルがわたしを好きなんて……」


「え? なぜそういう話に……?」


「ぐふふ。ぐふふふ」


 堪らないね。

 ベリアルがわたしを好き?

 ぐふふ。

 広場に戻ったらがっつり吸わせてもらおうかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ