バニラちゃんの復讐? (3)
「おばあちゃん……この話を吉田のおじいちゃんにだけ話して欲しいの。他の人には言わないで?」
もし、わたしの勘違いだったらバニラちゃんに申し訳ないし……
「ペルセポネ……」
天族の姿のおばあちゃんが悲しそうに呟いたね。
「全てわたしの勘違いだったらいいけど……もしこの考えが合っていたら……母親と父親であるおばあちゃんと吉田のおじいちゃんは……バニラちゃんとの関係をやり直そうとしているんだよね? 二人でこれからの事をきちんと話し合わないといけないんだよ。もう二度と手離したくないんでしょう?」
「……ペルセポネは怖くないの? バニラちゃんの事が……これからするであろう事が……」
「バニラちゃんはわたしで、わたしはバニラちゃんだったの。だから……怖くはないよ。でも……バニラちゃんは深く傷ついて後戻りできないところまで来ちゃったの。遥か昔から少しずつ……復讐の為の準備をしていたんだね」
「何があっても……わたくしはあの子の母親なの。ペルセポネ……巻き込んでしまってごめんなさい」
「おばあちゃん……わたしにとってもバニラちゃんは大切な存在なんだよ? だから謝らないで。これからもずっと一緒にいるよ? 月海も……おばあちゃんの孫なんだから」
「ペルセポネ……わたくしは……人間の月の姿で過ごすわ」
「え? おばあちゃん?」
「ガイアの姿は……あの子は……この天族の姿が嫌だと思うから」
「そう……」
「では、時を動かすわ? バニラちゃんやゲイザー族に心を聞かれないように気をつけて?」
「うん。……おばあちゃん。あのね?」
「なに?」
「大好きだよ? バニラちゃんに……こうなるように仕組まれていたんだとしても……わたしはおばあちゃんが大好きだよ?」
「ペル……月海……わたくしも……ばあちゃんも月海が大好きだ」
おばあちゃんが優しく抱きしめてくれる。
落ち着くよ。
群馬にいた頃からおばあちゃんに抱っこされるのが好きだったよね。
バニラちゃんは吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが幸せの絶頂を迎えたところで復讐をするつもりなんじゃないかな?
それはいつ?
この考えが間違っていればいいのに。
バニラちゃんはベリアルの優しい母親で、ベリアルも嬉しそうで……
このまま皆が幸せに暮らす事はできないのかな?
でも……
バニラちゃんが、この数千年間復讐をする為だけに皆を誘導していたとしたら……
絶対に復讐を遂行するはずだよ。
それだけバニラちゃんは親に捨てられた悲しみが深かったんだよね。
おばあちゃんと吉田のおじいちゃんはこれからどうするつもりなんだろう?




