バニラちゃんの復讐? (2)
「わたくしの持つ力は強い精神力がなければ暴発してしまうの。その危険から子孫を守りたかったのよ。バニラちゃんは知らなかったのね」
おばあちゃんが悲しそうに話しているね。
っていう事は、やっぱりわたしには攻撃された力を吸収する力があるのかな?
「……おばあちゃん……バニラちゃんも心を聞く力があるの」
「……! そうだったのね。今もその力はあるのかしら?」
「うん。あのね? バニラちゃんはわたしの神力を使っているみたいなの。身体から神力が減っていくのを感じるから……今は空間移動をするとか、その程度の事だけど……」
「ペルセポネ……?」
「バニラちゃんは……わたしの神力を使って……おばあちゃんと吉田のおじいちゃんを……」
「……! まさか……わたくし達を殺……あぁ……わたくしは……そこまでバニラちゃんを追い込んでしまったのね」
「……自然な流れでバニラちゃんは毛玉のぬいぐるみに入り込んだ。その時に思ったの」
「……? ペルセポネ?」
「お父さんが前に言っていたの。『人間の身体の時と違っていくらでも力を使える感じがする』って。バニラちゃんはわたしの魂の中でそれを聞いて……ずっと前にベリアルが創った毛玉のぬいぐるみに入る機会を狙っていたんじゃないかな」
「月海の頃から……いえ、天界にいたペルセポネの頃からずっと全てを見ていたのね」
「ベリアルはハンカチをアカデミーに持って行った時の記憶が無かったの。もしかしたら……ベリアルの身体を乗っ取ろうとしたけど失敗して毛玉の身体に入ったのかな?」
「記憶が無かった? では、あの時はバニラちゃんがベリアルの身体を動かしていたの? そんな……バニラちゃんはベリアルを愛していたわけではないのかしら?」
「こんな風に考えたくはないけど……いつか、ベリアルを消して創り物の身体を使おうとしていたのかも……まさか、今ベリアルが創り物のヒヨコちゃんの姿になっているのもバニラちゃんが仕組んだの……?」
「だとしたらバニラちゃんは未来を知っていた……? まさか、そんなはずはないわね。時を超えて未来を見るにはかなりの神力を使うから。遥か昔のわたくしの息子の時にそれをしたとは思えないし、ペルセポネの身体に入ってからそれをすれば誰かが気づいたはずよ? という事は、わたくし達は遥か昔からバニラちゃんの緻密な計略に見事にはまっていたのね」
「バニラちゃんはベリアルのヒヨコちゃんの身体をあきらめて毛玉の身体で……わたしの神力を使っておばあちゃん達を……?」
「まさか……ペルセポネの莫大な神力を全て使って……この世界を……天界をも……消し去ろうとしているの?」
「分からない……でも……わたしの身体でそれをしようとすれば身体が限界を迎えて途中で倒れるんじゃないかな?」
「だからペルセポネの神力をバニラちゃんの姿で吸い取ろうと? そんな……」
「分からないよ。でも……だとしたら全ての辻褄が合うんだよ」
「わたくしとウラノスに復讐をする為に……ペルセポネの神力を無理矢理奪い取って……あぁ……そんな……」
おばあちゃんが辛そうな顔をしているね。




