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バニラちゃんの復讐? (1)

 おばあちゃん……

 わたしの声が聞こえる?


 心の中で、おばあちゃんだけに聞こえるように話しかける。

 油断するとバニラちゃんと吉田のおじいちゃんとゲイザー族にも聞かれちゃうから気をつけないと。


 あ、時が止まったね。


「おばあちゃん……」


「えぇ……バニラちゃんの事ね」


 おばあちゃんが辛そうに話しているね。


「……うん。おばあちゃんも気づいていたんだね」


「かなりの憎悪だったから……」


「わたし……バニラちゃんに言われた事を思い返していたの。今から話してもいい?」


「もちろんよ。ペルセポネも……悪い魂がバニラちゃんだと思っているのね」


「……ベリアルが悪い魂だなんて考えられないよ。さっきのバニラちゃんの姿を見て確信したの。バニラちゃんは嘘をついているって」


「そうね。うさちゃんは遥か昔の『あの子』が亡くなる少し前に生み出された。つまり、バニラちゃんとベリアルのどちらが悪か善かを見てはいなかった。というよりは、うさちゃんはバニラちゃんを母親だと言い、ベリアルを嫌っていた。それは、遥か昔のベリアルが母親であるバニラちゃんを試したりして苦しめていたからだと言っていたけれど……バニラちゃんは『亡くなる直前、ベリアルは心の奥深くにいて出て来なかった』と言っていたわ」


「うん。うさちゃんは闇の力を通してその光景を見たと言っていたけど……たぶん、バニラちゃんはうさちゃんにそう思わせるように仕向けていたんじゃないかな?」


「ペルセポネは……わたくしと同じ考えなのかしら」


「……バニラちゃんが……ベリアルの心を創り出したんじゃないかな? 自分が捨てられた事に耐えきれなくて……もしかしたら……親の気持ちが知りたくて、息子としてベリアルの心を創り出したのかも」


「……わたくしもそう思ったわ」


 やっぱり……

 おばあちゃんも同じ事を考えていたんだね。


「あのね? バニラちゃんが言っていたの。ベリアルが吉田のおじいちゃんを父親だと知っても仲良くマシュマロを食べていた時に……」


「え? あの時に?」


「うん。『わたしの息子だ。あの子はわたしの息子なんだ。実の親に捨てられて、あの子だけがわたしの家族だった』って」


「あの子だけがわたしの家族……? わたしだけがあの子の家族ではなくて? あぁ……わたくしは今でもバニラちゃんを傷つけ続けていたのね」


「おばあちゃん……バニラちゃんは……」


「えぇ……たぶん……自分が創り出した息子のベリアルが、わたくしとウラノスにかわいがられている姿を見て赦せなかったのね。子を……あの子を捨てたくせに今になって愛情を与えられても赦せるはずがないわ。バニラちゃんの唯一の家族だったベリアルが、バニラちゃんではなくわたくし達と仲良くしているなんて……辛かったはずよ」


「『殺す。皆殺しだ。オレの幸せを奪った奴らを全員消し去ってやる』とも言っていたの」


「……バニラちゃんはわたくしとウラノスに復讐をしようとしているのね。……ペルセポネ、今の話は心の底にしまっておいて?」


「おばあちゃん……」


「わたくしは、あの子の母親なの。どんな復讐でも受け止めるわ」


「……バニラちゃんはわたしの近くにいればわたしの力を借りられるって言っていたの。それから……わたしがいろんな属性の魔術が使えるのはおばあちゃんの……ガイアの遺伝なんじゃないかとも言っていたの。でもこの事はおばあちゃんにも誰にも言ったらダメだって言われて……」


「え? わたくしの遺伝? 残念ながらそれは違うわ」


「……違うの?」


「話しておくべきだったわね。わたくしは確かに強い神力を持っているわ? だからこそ、子孫が強過ぎる力を持たない為に受け継ぐ力を分散させたのよ」


「え? それって?」


 バニラちゃんが勘違いをしていたっていう事?

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