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ガイアが語る過去(4)

今回は月海の祖母でありペルセポネの曾祖母であるガイアが主役です。

 もう大丈夫だから……

 卵から出て父親と母親を安心させてあげて……

 外の世界はこんなに賑やかで楽しくて温かい場所なのだから……と。



 わたくしが話し終わるとペルセポネがゆっくりと話し始める。


「おばあちゃん……全部話してくれてありがとう」


 優しい笑顔だわ。

 ペルセポネの笑顔を見ると心が安ら……

 え……?


 バニラちゃんが酷く怒っている……?

 ……?

 気のせいだったのかしら?

 今はいつもの穏やかなバニラちゃんだわ。

 

「おばあちゃん……? 大丈夫?」


 ペルセポネが心配そうにわたくしを見つめている。


「ええ……ごめんなさい。大丈夫よ?」


「じゃあ、この二人が実験の被害者なんだね。あの洞窟にずっといたの? 気づかなかったよ。はじめまして……かな? わたしはペルセポネだよ? ぺるみって呼ぶ人もいるよ? よろしくね」


 早速ペルセポネが話しかけているわね。


「あの……はい……はじめ……まして……」


 大きい熊のような容姿の父親が緊張しながら話しているわね。

 わたくし以外とはもう数千年間話していないから……


「ふふ。こっちに来て? 温泉があるんだよ? 皆で入ろう?」


「おんせん? ですか?」


「そうだよ。裸の付き合いをすればすぐに仲良しになれちゃうんだから。えへへ。あ、この世界では服を着たまま温泉に入るから裸じゃないかな?」


「え? あの……」


 父親がかなり動揺しているわね。


「あなたがお母さんかな? すごくかわいい卵だね。ちょうどいいバスケットがあるんだよ? フワフワの布団が敷いてあるから赤ちゃんも気持ちいいはずだよ? お母さんも一緒に温泉に入ろうよ」


「……え? わたしも……ですか? でもわたしは化け物ですから……あなたのような美しいお方と一緒に何かをするなんて……」


 魚人族のような容姿の母親も動揺しているわね。


「え? わたしが美しい? あはは! わたしは皆から変態って言われても美しいなんて言われた事がないよ? あはは! ……あれ? なんだか悲しくなってきたよ」


「え? ペルセ……ポネ様? でしたか? どうしてそんな悲しそうなお顔を……」


「卵の母ちゃん、大丈夫だ。ぺるみは自分の変態さに悲しくなっただけだからな。よし、皆で温泉に行くぞ! ほら、周りを見てみろよ。ここには容姿で差別する奴なんていないんだ。人間も魔族も天族も皆で仲良く暮らしてるんだ」


 ベリアルが、ペルセポネに呆れながら卵の母親の肩に飛んできたわね。


「あなたは……?」


「オレは天族だけど……天族から嫌な目に遭わされてきたんだ。だから今はヒヨコの姿でここにいる。オレにはお前達の気持ちがよく分かるぞ? だから……もう安心していいんだ。ここにいればお前達も絶対に幸せになれるんだ。オレが言うんだから間違いないぞ?」


「ですが……わたし達はあなたと違って気持ち悪い容姿で……」


 ベリアルはかわいいヒヨコの姿だから自分達とは違うと思ったのかしら。


「はじめまして」


 魚族長が母親の方に話しかけたわね。

 ……容姿がよく似ているわ。

 魚族長はポセイドンの息子だったわね。

 

 なぜ天族には時々、魔族のような容姿の子が産まれるのかしら……

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