疲れた心と寄り添う心(2)
前にも言われたよ……
他の人なら傷つかないような小さな事でも、わたしにとっては辛過ぎて耐えられない、心が弱っているんだって……
こういう事なのかな?
でも、わたしのせいなのは事実なんだよ。
わたしのせいでイナンナは心と力を分けて追放されたんだ。
「うぅっ……」
涙が止まらないよ……
「ぺるぺる……良い子だなぁ。良い子だ……」
おじいちゃんが髪を撫でてくれる手の温かさに、もっと涙が溢れてくる。
「少し眠れ……ここは天ちゃんのベットだからなぁ。安心して眠れ……」
群馬でもこうやって寝かしつけてくれたね。
懐かしいな……
お互い姿は違うけど。
あぁ……
眠くなってきたよ。
「ヨシダさん……ペルセポネは……」
「大丈夫だ……デメテルはもう泣かなくてもいいんだ。ぺるぺるは眠って……」
……お母様とおじいちゃんの声?
眠くて……よく聞こえ……ない……
目を覚ますと……フカフカのベットで眠っていたみたい。
うぅ……
掛け布団かな?
重い……
「ペルセポネェ……うぅ……心配だよぉ。まだ布団が足りないかも……もっと掛けてあげないとぉぉ」
お父様!?
もう大丈夫だから!
重過ぎて動けないよ……
あれ?
声が出ない……?
どうして?
こんな事ができるのは、吉田のおじいちゃんしかいないよ……
黙って皆の話を聞いて欲しいのかな?
「ゼウス……これ以上掛け物を乗せたら息苦しくなるわ? 寒くはないはずだから大丈夫よ?」
お母様の声……
布団が山盛りになっているから何も見えないよ。
心配させちゃった……
数千年前もずっと心配させたから今度は気をつけようと思ったのに。
「医師の話では疲労が原因らしいが……しばらくゆっくり休ませたいな」
ハデスもウリエルの私室から帰ってきているんだね。
声が近くから聞こえてくる。
毛玉の姿で一緒にベットにいるのかな?
動けなくて見えないよ。
「ペルセポネの身体に戻ってから忙しかったし。シームルグのヨータにも安静にするようにって、ファルズフに刺された傷を治す時に言われていたの。それなのに、無理をさせてしまって……」
お母様のそんな悲しい声を聞いたらわたしまで悲しくなっちゃうよ。
「明日の星治の宴が終わったらのんびり過ごせるんじゃないかな? やっぱり天界と冥界と第三地区を行ったり来たりするのは疲れるのかも」
お父様……
まさかずっと天界にだけいさせようとしているんじゃないよね?
「ペルセポネは第三地区も冥界も大好きなのよ? 天界にだけ閉じ込めるのはよくないわ? わたしは二度とペルセポネを閉じ込めたりしたくないの」
お母様……
「デメテルちゃんの言う通りだなぁ。ぺるぺるを閉じ込めるのは、よくねぇなぁ。天ちゃん……じいちゃんは思うんだけどなぁ、ぺるぺるは心が耐えられねぇところまできちまったんだ。群馬でお月ちゃんがあんな亡くなり方をしてなぁ。何もできなかったって苦しんで……こっちの世界に来てからもぺるぺるは第三地区の皆に申し訳ないと思ってなぁ。天ちゃんがやってきた事も全部自分のせいだって思い込んでるんだ」
吉田のおじいちゃん……
だって、本当にわたしのせいなんだよ?