ガイアとウラノス(2)
今回は月海の祖母でありペルセポネの曾祖母であるガイアが主役です。
「子供達の醜い姿に絶望し……わたしは子供達を……捨てたのだ……それなのにわたしは……その醜い魔族の姿になりこの世界を守りながら……過ごした……おかしいだろう?」
ウラノスの身体が小さく震えている。
なんとか声を絞り出して話しているのが分かる。
「……ウラノス……わたくしは……ずっと……見ていたわ」
「……え?」
「ウラノスが……群馬に行ってからもずっと……」
「……ガイア?」
「ごめんなさい……わたくしは……あぁ……ごめんなさい……」
どう話せばいいのかしら。
「どうしたのだ……?」
「わたくしは……月……」
「え?」
「月なの。月海の祖母で……晴太郎の幼馴染みの……月なのよ」
「……? ガイア?」
「ウラノスが晴太郎の身体に憑依したあの日……何があったのかを話すわ……」
「ガイア様……奥の部屋に行きましょう。椅子に座りゆっくり話してください。お茶をいれましょう」
魚人族のような生き物が優しく微笑んでくれる。
「ありがとう……助かるわ。奥に隠し部屋があるの。ウラノス……行きましょう」
ついにガイアだと話す時がきたのね。
まさか、こんな日がくるなんて……
「ここは……」
ウラノスが驚いているわね。
洞窟の奥に隠し部屋があるなんて思いもしなかったでしょうし。
それにこの隠し部屋の中にいる時は誰にも心の声を聞かれないように特別な結界が張ってある。
晴太郎にもゲイザー族にも、ここにこの子達がいる事は分かっていなかったはずよ。
「ガイア様……お茶をどうぞ」
「ありがとう。助かるわ」
「我々は外に出ていますので……」
魔族のような容姿の二人が部屋を出ようとする。
「あぁ……気を遣わないで? 『あの子』を温めないと……ここにいて?」
「……はい。ではお言葉に甘えて……」
魚人族のような生き物がベット入ると卵を温め始める。
「……ガイア? これはどういう事だ?」
ウラノスが真剣な表情で尋ねてくる。
「……そうね。何から話そうかしら……」
話さなければいけない事がありすぎて……
「ガイア……手が震えているぞ?」
……!
ウラノスがわたくしの手を握ってくれた?
大切なところを切り落とさせたわたくしの手を……
「ごめんなさい……怖くて……」
情けないわ。
今までの出来事を話すのが怖くて震えるなんて……
「わたしが怖いのか……すまない。わたしが子を捨てたから……わたしが……怖いのだな」
ウラノス……
こんなに優しくなったのね……
嬉しいわ。
「……ウラノス……わたくしは……愚かね。月海には『隠し事はダメだ。嘘はダメだ』と言っていたのに……」
「……月海? なぜガイアが月海の名を……?」
「……本物の晴太郎が亡くなった日……あの時、何があったのかを話すわ」
「ガイア?」
「あの時……愚かな大天使がまだ幼かった本物の晴太郎と月の命を奪ったの」
「……え? どういう事だ? 晴太郎とお月ちゃんを……大天使が?」
「集落の温泉にいた月を殺害しようと大天使が魔素で攻撃して……偶然その場にいた晴太郎が大人を呼びに行こうとしたの。でもそれを良く思わなかった大天使が……」
「晴太郎を転落死させた……?」
「そうよ……そして、わたくしは……月の身体に……憑依したの」
「……! ガイア……? ガイアが……お月ちゃん……? そんな……まさか……」
「ごめんなさい……わたくしは……月として……ずっとウラノスを見守ってきたの……」
「……! そんな……あぁ……わたしは……本当に……愚かだ……」
「ウラノス……」
ウラノスが酷く同様しているのが伝わってくる。




