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吉田のおじいちゃんとペルセポネ(2)

「ファルズフの事では辛かったし……毒で身体も辛かったけど……わたしは、お父様とお母様に愛されて育ったの。だから幸せだったよ?」


「ぺるぺる……」


 おじいちゃんの声が震えているね。


月海るみになってからも、おばあちゃんと集落の皆に大切にしてもらったし。……やっぱりわたしは、幸せだったよ。でも……ベリアルは……」


「そうだなぁ。ベリアルには悪い事をしちまった」


「ベリアルは昨日の夜はバニラちゃんと仲良くしていたのかな? わたしは、天界に来ちゃったから分からなくて」


「バニラは、ぺるぺるみてぇにベリアルを吸ったり撫でたりしてたぞ?」


「じゃあ、ベリアルは嫌がっただろうね」


「いや、喜んでたぞ? 一緒にベットで寝てたしなぁ」


「ええ!? なんで!? わたしの時は嫌がったのに!」


「……ぺるぺるは鈍感だなぁ」


「……? わたしが鈍感?」


「まぁ、そのうち分かるだろうなぁ。それより、いい話があるぞ?」


「ん? いい話?」


「ベリアルの寝癖が反対側にもついてるぞ?」


 おじいちゃんはさっきまでタルタロスにいたはずだけど……

 そうか、おじいちゃんは水晶がなくても遠くを見る事ができるんだ。

 ベリアルの……寝癖……?


「ぐふふ。ぐふふふ」


「……ぺるぺるは相変わらずの変態さんだなぁ」


 相変わらずって……

 確かにずっと変態ではあったけどね。


「そうだ……ずっと気になっていたんだけど……」


「んん? なんだ?」


「おじいちゃんは、どうしてハデスにだけ『ちゃん』をつけるの? バニラちゃんもバニラって呼んでいるし、お母様にもヘスティアとヘラにもつけないでしょ?」


「んん? そうだったか? うーん? なんでだろうなぁ? ……かわいい……からか?」


「かわいい?」


「もちろんヘスティア達もかわいいけどなぁ。ハデスちゃんは……なんて言うかなぁ……とにかく……かわいいんだなぁ。ほら、毛玉の姿になった時にしっぽがすごい勢いで揺れただろ?」


「うん。ヴォジャノーイ族の時もハデスになってからも、無表情でも心の中はしっぽが揺れているみたいに喜んでいたのかなって思ったよ?」


「ハデスちゃんはずっと悩んでたんだ。父親が幽閉されている事をなぁ。ゼウスやポセイドンは冥界には寄りつきもしなかったからすっかり忘れてるみてぇだけどなぁ」


「タルタロスは冥界からしか行けないから……ハデスは傷つきながら冥王をしていたんだね」


「そうだなぁ。『日々暮らしやすくなる冥界』と『冷たく暗いままのタルタロス』を比べては胸を痛めていたんだ。ハデスちゃんは優しいからなぁ。父親が冷たい牢に入れられているのをかわいそうに思ってなぁ。それでタルタロスの牢以外を冥界と同じく暖かい空間にして、牢の中もほんの少しだけ過ごしやすくしたんだ」


「……それを天界に知られてもハデスは平気なの? 罰を受けたりしないかな?」


 心配だよ。

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