神様代理は意外に暇だね(4)
「えっと……あはは。わたしにはうさちゃんがいるから……嫉妬しちゃうと困るからやめておくよ……」
なんとかして数学者との勉強会を阻止しないと。
「……そうですか? あぁ……残念です。では、我が家の聖獣に会うのは無しにして、朝から晩まで勉強会はいかがでしょう?」
……!?
絶対に嫌だよ!
「ごめんなさい。しばらくは忙しくて……また今度にしてもらってもいいかな?」
やんわり断れたかな?
「……そうでしたか。では、お暇になられたらその時に……あぁ……楽しみです。それだけを楽しみに生きていけます」
勉強だけが楽しみ!?
他にもっと楽しい事はいっぱいあるよね?
この数学者は本当に数学が好きなんだね。
考えてみれば……
天族も魔族もよほどの事がない限り死なないわけで……
長過ぎる時を持て余しているのかもしれないね。
数学者が帰ったあと、大量のお土産と共にお父様達が群馬から帰ってきた。
ピーちゃんも一緒だ!
「ピーちゃん! 遊びに来てくれたの?」
「ウン。ルーチャンハ、カミサマダイリ、オツカレサマ」
「うぅ……ずっと掛け算と割り算をさせられていたんだよ……」
「エ? カケザン? ナンデ?」
「数学者がね……って……あれ? ピーちゃんはどうして天界に入れるの? 聖獣だから?」
「ン? コノ、ブレスレットガ、アルカラダヨ?」
「ブレスレット? そういえば、初めてベリアルに会った時にもウリエルがブレスレットを用意していたよね」
「ウン。コレガアルカラ、テンシ、ジャナクテモ、テンカイニ、コラレル、ミタイダネ」
「なるほどね。不思議だね」
「エヘヘ。キョウハ、ルーチャンニ、ハナシガアルノ」
「何? 群馬での話かな?」
「ウン! ツイニ、シュウラクノ、ギシキガ、ナクナッタンダヨ」
「ええ!? すごいよ! あの酷い儀式はもう二度と行われないんだね」
仮装して高崎の駅前のデパートに行った時の辛さは忘れられないよ。
「……アレハ、ツラカッタ、カラネ」
ピーちゃんは武将に仮装させられたんだよね……
心から辛かっただろうね。
「でも、どうして?」
「ウン。シュウラクノ、ソトカラ、ケッコンアイテヲ、ミツケテクル、トカノ、キマリガ、ナクナッテネ。フツウニ、リョウシンガ、ソロウヨウニ、ナッタカラ、カナ? ミンナ、ジブンノ、オヤノ、クルマデ、タカサキニ、アソビニ、イクヨウニ、ナッタンダヨ」
「そうだったんだね……わたしの身体を作り出す為に巻き込んで申し訳なかったよ……」
「ルーチャンノ、セイジャナイヨ?」
「……ありがとう」
「ルーチャン……キイタヨ? ベリアル、トノコト」
「あぁ……うん。わたしの中から吉田のおじいちゃんの息子さんの魂が出ていったの。毛玉のバニラちゃんとして暮らしていく事になったんだよ?」
「ソッカ……ベリアルハ? オチツイテ、イルノカナ?」
「うん。思っていたより落ち着いていたみたいだよ? 昨日は母親みたいなバニラちゃんに甘えていたけど……」
「……? イタケド?」
「……バニラちゃんも変態なんだよ。わたしとバニラちゃんで変態を半分ずつ分けたの」
「……ソウナンダネ。ヘンタイッテ、ワケラレルンダネ……」
「今頃ベリアルは吸ったり撫でたりされてプリプリ怒っているはずだよ」
「……ベリアルモ、サイナンダネ」
「災難って……」
やっぱりピーちゃんもわたしを変態だって思っていたんだね。