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神様代理は意外に暇だね(2)

 どれどれ……?

 うーん。

 お?

 水晶の中に、ぼんやり見えてきたよ。

 これは有名な石段だね。

 今のところ被害は出ていないみたいだよ。

 お父様達はどこかな?

 ……あ、映った?

 うわあ……

 すごいごちそうだよ。

 楽しそうにお酒を飲んでいるね。

 このお金はどこから出てきているのかな?

 

「ペルセポネ? どうかしたか?」


 ハデスが帰ってきたね。

 

「うん。暇だから水晶でお父様達を見ていたの」


「……どうかしたのか? ……これは、食べ物か? 美しいな」


「うん。和食だよ? すごく綺麗だよね。旅館とかに泊まると出てくる高級な料理なの」


「高級な料理か……」

 

 お父様達……楽しそうだな。

 日頃の疲れを癒して欲しいけど……

 楽しすぎて眠れないかもしれないね。

 時々は、わたしが神様の代理をしてお父様達にのんびりしてもらうのもいいかもしれないよ。

 ……わたしも明日のアカデミーは休日だから温泉の島に行こうかな。


「ペルセポネも久々にグンマに遊びに行ったらどうだ? もう時間がねじれる心配も無いしな」


「そうだね。……でも……わたしはやめておくよ。月海るみとして亡くなって、この世界に来た時にわたしは月海じゃなくなったの……もちろん月海には感謝しているし申し訳ない気持ちでいっぱいだけど……人間は亡くなればそれで終わるの。亡くなった月海が群馬に行くのは違うと思うんだよ……」


「ペルセポネ……そうか……では、朝になったら温泉の島に行こう。それから昼寝だ」


「ハデスも一緒に?」


「ああ、久々にのんびりしよう」


「うん! えへへ。一日中ハデスと一緒にいられるのは久しぶりだね」


「そうだな。今から楽しみだ」


「うん。……ねえ、ハデス?」


「なんだ?」


「ハデスは……わたしのどこが好き?」


「……え?」


「ほら、わたしは変態だし、鼻血は出すし……遥か昔のわたしとは全然違うでしょ?」


「……忘れているようだが……ペルセポネは冥界でケルベロスを撫で回してはニヤニヤしていたぞ?」


「え!? そうだった? 覚えていないよ?」


「……さすがに鼻血は出さなかったが……そこも含めてわたしはペルセポネを愛している」


「そこも含めて……? ハデスはわたしが変態でも愛してくれるの?」


「わたしは、ありのままのペルセポネを愛しているのだ。無理に良く見せようとする必要は無い。ただ毎日笑っていて欲しいのだ。幸せそうに笑うペルセポネは世界の誰よりも美しい」

 

「ハデス……恥ずかしいよ……でもすごく嬉しい」


「ペルセポネ……」


 ハデスの顔が近づいてくる……

 今度こそ口づけを……

 ……?

 ん?

 また誰かが覗いている?


「ペルセポネ様……あの……先程、他の数学者に掛け算を教えられたとか……その者に掛け算の秘密を教わりまして。あの……わたしは……発見したのです!」


「……え? えっと……誰?」


「あ! はい! わたしは数学者です! 実はとてつもない秘密を発見したのです!」


「……とてつもない秘密を?」


 まさか……

 お父様が何か悪さをしていたとか?


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