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つむじとそれぞれの思惑~後編~

「「違う! 赤ちゃんじゃない!」」


 わたしとベリアルの声が重なる。


「あはは。二人ともそっくりだなぁ。声が揃ってるぞ? 仲良しさんだなぁ。じいちゃんとお月ちゃんみてぇだなぁ」


 吉田のおじいちゃんが嬉しそうに話しているね。

 うぅ……

 わたしの方が絶対お姉ちゃんだもん。


「そうだ! じゃんけんで決めよう?」


 こういう時はじゃんけんだよね。


「ジャンケン? なんだよ、それ」


「手でね? グーとチョキとパーを出して……」


「手で? こうか?」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルが翼をパタパタさせた!?

 なんて破壊力なの!?

 かわい過ぎてくぎ付けになっちゃうよ!


「あれ? グーとチョキと……? どうやってやるんだ?」


 堪らないね、興奮を隠すのが難しいよ。

 でも……これはベリアルの身体に触れるチャンスだよ。

 冷静に、慎重にやるんだよ!

 

「ベリアル……初めてだから難しいよね? こうやるんだよ?」


 ベリアルの翼に触ると、わたしの下心に気づいて翼で手を叩かれる。


「この変態め! オレに触るな!」


「ちっ! ばれたか」


「はぁ!? やっぱりお前は油断ならない奴だな!」


「ベリアルを触れるなら、なんだってやるよ!」


「ばあちゃん! ぺるみが変態だよぉ! 気持ち悪いよぉ!」


「そうだよ! わたしは変態なんだよ!? 嫌われたっていいよ! 掴まえて吸っちゃうからね!」


「うわあぁん! ばあちゃん!」


 ベリアルがおばあちゃんの腕に飛び込むと、かわいい後頭部にアレが見える。


 うわぁ……

 やっぱりかわいいよ。

 ベリアルの後頭部のつむじを見つけた時は寝癖かと思ったけど……

 鳥につむじがあるなんて聞いた事がないよ?

 くぅぅ!

 堪らないね。

 あのつむじを人差し指でチョンって触りたいなぁ。

 つむじに沿って指でなぞるのもいいね。


 でも、ダメだよ。

 ベリアルに感づかれたら警戒されちゃうからね。

 まだ、今はその時じゃないんだよ。

 あぁ……

 いつ触ろうかな?

 楽しみだなぁ。


「ぺるぺる……顔がまずい事になってるぞ?」


 え?

 吉田のおじいちゃん?

 しまった……

 おじいちゃんは心の声が聞けるんだ。

 わたしの素敵な計画が、ばれちゃったよ。

 

 おじいちゃん!

 お願い、ベリアルには秘密にして?


「……ぺるぺるは本物の変態さんなんだなぁ。じいちゃんは心配になっちまうよ」


「おじいちゃん……何を言っているの? 裸の人に言われたくないよ!?」


 いくら昔、切り落とされたモノが付いているのが嬉しいからって……

 せめて、ふんどしは着けようよ。

 いつの間に裸になったの?

 さっきまで普通に果物を食べていたよね?


「ええ? 明日の星治の誕生日ぱーてーの為に今から練習してるんだっ!」


「明日!? 明日は第三地区の皆だけじゃなくて種族王達も来るんだよ!?」


「だから一生懸命練習してるんだ。明日はキレッキレの裸踊りを披露するからなぁ。楽しみにしてろ? あはは」


 うわあぁ……

 明日の宴……無事に終わるよね?

 裸踊りを阻止できる自信がないよ。

 なにがなんでも踊り出すだろうし……

 わたしにできるのは、ふんどしを着けさせる事だけだね。


 ドラゴン王のばあばがお酒を飲み過ぎて暴れ出さないように見張りながら、吉田のおじいちゃんの裸踊り用にふんどしを着けさせて……

 あぁ……

 不安になってきたよ。

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