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ハデスの優しい姿に嬉しくなる

「ハデスちゃんならあそこだぞ?」


 おばあちゃんが少し離れた所を指差したね。


「あそこ? ん? どこ?」


「ほれ、人魚達が田舎者丸出しで歩いてひったくりに遭っていたから助けてたんだ」


 ……田舎者って。


「ふふ。ハデスはそういうところは優しいんだよね」


「そうだなぁ。あまりにかわいいからついつい『ハデスちゃん』って呼んじまうんだ」


「吉田のおじいちゃんも『ハデスちゃん』って呼んでいるよね」


「ははは。ハデスちゃんは赤ちゃんみてぇにかわいいからなぁ」


「まぞくの、おれでさえ、はですは、こわいのに。ばあちゃんは、すごいな」


 ハーピーちゃんが漬け物を食べながらおばあちゃんを見上げているね。


「ははは。そうか、そうか」


「ばあちゃんは、はですより、つよい?」


「んん? ははは。どうかなぁ。ばあちゃんは口じゃあ負けねぇだろうなぁ」


「せかいいち、つよいのは、だれ?」


「んん? 世界一強い奴か……そうだなぁ……」


 ……おばあちゃんは誰が世界一強いと思っているのかな?


「おれは? せかいいち、つよい?」


「ははは。そうだなぁ。世界一強くなったら大変だぞ? 常に命を狙われて気が休まる暇がねぇだろうからなぁ。強い奴を追いかけてる時の方が幸せかもしれねぇなぁ」


「よくわからない。おれはせかいいち、つよくなりたい」


「そうか、そうか。強くなってどうなりてぇんだ?」


「おれは、まおうになる!」


「ははは。そうか、そうか。じゃあ星治より強くならねぇとなぁ」


「うん! おれ、つよくなる! まおうになって、ぺるみを、つがいにする!」


 ……!?

 わたしと結婚したいって事!?

 くぅぅ!

 かわいすぎるよっ!


「そうか、そうか。じゃあハデスちゃんより強くならねぇとなあ。あはは」


「うん! おっきくなったら、まおうになる!」


 ハーピーちゃんはかわいいね。

 でもこんな会話をハデスに聞かれていなくて良かったよ。

 ハデスは……?

 あ、人魚達にお菓子の買い方を教えているね。

 ふふ。

 ハデスは怖く思われがちだけど本当はすごく優しいんだよね。

 

「やれやれ。人魚達にも困ったものだ。ペルセポネ? どうかしたか? 嬉しそうだが」


 ハデスがゆっくりわたしに近づいてきたね。


「えへへ。うん。ハデスが人魚に優しくしているのが嬉しかったの」


「……見ていたのか。人魚は普段は陸に上がれないからな。人間の生活が珍しいのだろう」


「ふふ。そうだね。ハデス、手を繋ごう? あっちにキャンディが売っていたの」


「そうか。では、行ってみるか」


 ハデスの手は大きいよ。

 大きくて温かい。

 ……これを幸せって言うんだろうな。

 遥か昔の冥界でも幸せには暮らしていたけど、お母様には祝福してもらえなかった……

 でも今は皆がわたし達を優しく見守ってくれている。

 この幸せがずっと続いてくれたら……

 ずっと……か。

 天族のわたしの思う『ずっと』は『永遠』なんだよね。

 人間の『ずっと』とは違うんだ。

 ルゥの人間の家族とのお別れは……すぐなんだろうな。

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