お祭りってワクワクするよね
「はぁ……」
想像通りになったよ。
第三地区の皆は久々のお祭りに大興奮で、初めて人間のお祭りに来た人化した人魚達はキョロキョロしているうちにお小遣いを盗まれそうになるし。
こうやって見ているとゲイザー族は、かなり常識的に行動しているね。
さすが長生きの種族だよ。
普通にお金を使ってお菓子を食べているし。
人間達もゲイザー族を『聖獣』だって言ったらすごく良くしてくれるんだよね。
(はは。ありがとうございます)
(やっぱり我らゲイザー族は優秀な種族ですよね)
(ぺるみ様、あちらに裸の女性の絵が売っていましたよ?)
(我らは心を聞けるのでこのくらいは簡単なんですよ。あはは)
(あ、ベリアルが……)
ゲイザー族は一度に話すから何がなんだか……
ん?
ベリアルがどうしたって?
(はい。裸の女性の絵を見て固まっています!)
……!?
そんな貴重な姿を見逃すわけにはいかないよ!
どこどこっ!?
ベリアルはどこにいるの!?
(あの細い路地です!)
ふふふ。
ありがとうゴンザレス。
今度ゲイザー族の皆においしいチョコレートパイを焼くからね。
(はいっ! 楽しみですっ!)
ぐふふ。
ちょっぴり大人になったヒヨコちゃんをじっくり見ないと。
堪らないね。
「あ、いた」
ベリアルは絵を見たまま固まっているね。
ぐふふ。
ベリアルもお年頃の男の子なんだね。
激かわだよ!
「ぺるみ? べりある、どうした?」
抱っこしているハーピーちゃんが首を傾げているね。
「……ベリアルはちょっぴり大人になったんだよ」
「ふうん。ぺるみ、つけもの、うってる?」
「ふふ。ハーピーちゃんは漬け物が好きだからね。探しに行こうか」
ベリアルのお楽しみの邪魔をしたらいけないよね。
隣に野田のおじいちゃんもいるし平気だよね。
……この姿を孫のピーちゃんが見たらどう思うんだろう。
うん、見なかった事にしよう。
「つけもの、つけもの。どこかな?」
ご機嫌のハーピーちゃんもかわいいね。
「お茶も飲みたくなるよね。どこかにあるかな? さすがに緑茶は無いかな?」
「あ、あれはつけもの?」
「うーん。違うみたいだね」
さすがに日本の漬け物は売っていないからね。
似たような物があればいいけど。
「ほれ、ハーピーちゃん。ばあちゃんが漬け物を持ってきてるからなぁ」
おばあちゃんがバスケットに入った水筒と漬け物を見せてくれたね。
「うわあぁ! つけものと、おちゃだ!」
「ハーピーちゃんが腹を減らして人間を食べねぇように持ってきたんだ。ちょっくら、どこかで休むか」
さすが、おばあちゃんだよ。
「うん! ばあちゃんだっこ!」
「ははは。ハーピーちゃんはかわいいなぁ。ぺるみはハデスちゃんとその辺を見てきたらどうだ? 最近デートもしてねぇだろ?」
おばあちゃんはわたしに気を使ってくれたのかな?
「ありがとう。えへへ。そうさせてもらうよ。って……あれ? ハデスがいないよ?」
最近は離れた所から見守ってもらうのに慣れていたから……
今も離れて見てくれているのかな?