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二代前の聖女を取り戻せ! (7)

 ……とりあえず聖女の服を着替えさせよう。


(ぺるみ様……これは一体)


 ……うん。

 ゴンザレスも変だと思うよね。

 

(初代の神がやったんでしょうか?)


 ……分からない。

 でも、さっき棺を開けなくて良かったよ。


(そうですね)


 吉田のおじいちゃんがこんな危険な事をするとは思えないよ。

 いつ人間が棺を開けるか分からないからね。

 他の誰かがやったのかな?

 そんな事ができるのは天族の誰かだよね。

 第三地区に帰ったら訊いてみよう。

 

 それにしても……こんなに若くて華奢な女の子が魔素を祓って亡くなったのか。


「辛かったね……苦しかったね……あなたは……誰を守る為にこの世界を救ったの? きっと……すごく大切な相手がいたんだね」


 ワンピースに着替えさせて棺のまま第三地区に空間移動する。


 吉田のおじいちゃん達は……

 広場で待っていてくれたんだね。

 一時間以上経っちゃったかな?


「……ただいま」


 なんて話したらいいのかな?

 

「あのね? えっと……」


 上手く話せないよ。


「ぺるぺる……すまねぇなぁ。じいちゃん達は約束を破っちまった」


 吉田のおじいちゃんが申し訳なさそうにしているね。


「え? 何が?」


「水晶で見てたんだ。すまねぇ……」


「あ……うん。見ないでって言ったのは吉田のおじいちゃんとバニラちゃんが苦しまないようにって思ったからだから……見ていたのなら……訊いてもいいかな? どうして二代前の聖女は腐敗していないのかな?」


「分からねぇんだ。確かに聖女は腐敗していた。どうしてこうなったのか……」


 吉田のおじいちゃんが棺をゆっくり開けたね。


「おじいちゃん……埋葬じゃなくてルゥとじいじの隣に寝かせてあげようよ」


「ぺるぺる……そうだなぁ……そうだなぁ……」


 吉田のおじいちゃんが泣いているね。

 聖女はおじいちゃんにとっても子孫だからね。


「ペルセポネ……ありがとう。遥か昔のわたしの願いが叶ったわ。それに……聖女は……わたしを……」


 バニラちゃんも泣いているね。

 ……?

 何かを言いかけてやめたみたいだったね。


「……生き返らせる事ができなくてごめんなさい」


「それは、違うわ? 謝らないで」


「バニラちゃん……」


「今、生き返っても混乱するはずよ? 聖女が守ろうとした相手は……数千年前に亡くなっているのだから」


 バニラちゃんは聖女が誰を守ろうとしたのかを知っているみたいだね。


「……そうだね。長い時が経ったから。辛いよね」


「それに、聖女にはもう魂は入っていないようだし……」


 魂が入っていない?

 ……?

 亡くなった時から魂は無いんだよね?

『もう魂がない』?

 違和感があるね。

 亡くなると魂が消えるわけじゃないのかな?

 これがバニラちゃんが言っていた魂の秘密?

 口に出したらいけない事だね。


「……うん」


「ぺるぺる……聖女は……土に還してやろう」


「おじいちゃん……それでいいの?」


「あぁ……人間らしく終わりにしてやろう。聖女は人間として生まれて人間として生きたんだ。その方が幸せなはずだからなぁ」


 おじいちゃんは、すごく辛そうだけど……


「うん。決めたんだね。わたしはおじいちゃんとバニラちゃんに従うよ。ずっと聖女を想っていた二人の気持ちを尊重したいから」


 本当は埋葬したくないのに……

 聖女の為に決断したんだね。


「それにしても……誰が聖女の腐敗を治したんだろうなぁ?」


 やっぱり吉田のおじいちゃんじゃないのか。

 じゃあ、誰が?


「……もしかしたら……あの時か?」


 あの時?

 ハデスが真剣な表情をしているね。


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