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魔術が使えるようになると嬉しいよね

「ペリドット様、次はどうしたらいいですか?」


 土属性のジャックは、やる気に満ち溢れているね。


「じゃあ、土を創り出すのは難しいから今ある砂を栄養のある土に変えてみようか」


「はいっ!」


「ふふ。良い返事だね。まずは想像するんだよ? 栄養のある土になれって」


「想像か……想像しながら詠唱する……モニョモニョモニョ……」


 やっぱり詠唱はモニョモニョなんだね。


「どうかな? できそう?」


「うーん。どうやったら土に栄養があるって分かりますか?」


「そうだね。この広場の砂は乾燥しているからね。畑の土みたいになったらいいんじゃないかな?」


「畑の土か……うーん。難しいな……」


「例えば……今ジャックが創った土から花が咲く想像をしてみて?」


「土から花が咲く……? はい。分かりました。うーん……」


 ジャックは真面目だね。

 すごく頑張っているよ。


「あの……オレにも教えて欲しいです。ペリドット様……」


「もちろんだよ。えっと……なんて呼んだらいいかな?」


「あ、ジャックです」


 やっぱりジャックか。


「ジャックは何属性なのかな?」


「はい。風です。マリーさんとジャックに教えてもらったんですけどなかなか上手くいかなくて」


「そうなんだね。風は目に見えないからなかなか難しいよね」


「はい……どうしたらいいんでしょうか?」


「まずは木の葉を揺らすくらいから始めてみようか? 他の属性と違って風でヒヨコちゃんを創るのは難しいからね」


「はい。やってみます。まずは木の葉を揺らす想像をして……詠唱……モニョモニョモニョ……」


 やっぱり詠唱はモニョモニョなんだね。


「どう?」


「難しいです……」


「じゃあ、想像してみようか? ジャックには好きな子がいたりする?」


「え!? あ、はい」


 ふふ。

 真っ赤になってかわいいね。


「その子の髪を風でなびかせる想像をしてみて? きっと上手くいくよ」


「髪を……風で……? あぁ……ドキドキしてきた」


「ふふ。ジャックはかわいいね。焦ると良くないからゆっくり魔力と向き合おうね? 慌てて魔力が暴走したら大変だからね」


 今の人間にはそこまでの魔力は無いけど、魔力が危ない認識は植え付けておかないといけないからね。


「暴走……はい! 気を付けます! モニョモニョ……」


「あ! 少し風が吹いた……? うわあぁ! すごいね」


「やったぁ! ありがとうございます! よし、もう一度……」


 すごいよ。

 皆すぐに魔術が使えるようになったね。

 それだけ、今まで頑張っていたっていう事なんだろうけど……

 生まれ持った魔力が少ないから今はこれ以上は無理をさせない方がいいね。


「皆、少し休憩した方がよさそうだね。魔力がなくなり始めてきたよ?」


「え? 魔力がなくなる!? そんな……」


「あ、しばらく休めば回復するから安心して? でも常に魔力は少しだけでも体内に残しておいてね。常に体内にある魔力を感じるようにして?」


「常に魔力を感じる?」


「うん。今までは体内に魔力があるって感じながら暮らしていなかったんじゃないかな? そうするだけでも魔力が安定するはずだよ?」


「はい! そうしてみます! 魔力が安定するのか……すごいなぁ。さすがペリドット様だ……四大国の王様達から頼りにされている理由がよく分かります」


「え? あ……あはは。そうかな?」


 アカデミーの人間達は、わたしをただの変態だと思っているのかと……

 違うのかな?

 でも、怖くて訊けないよね。

 純粋な瞳で『はい。ペリドット様を、ど変態だと思っています』なんて言われたら立ち直れないよ……

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