表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/1484

サプライズの誕生日パーティーの準備ってだいたいばれているよね

「あら? 魔王がこっちに歩いてくる気配がするわ? いろいろ隠さなくて平気なの? お花とか作っていたんでしょ?」


 ばあばの言葉に第三地区の皆と慌てて広場に走る。


「痛っ!」


 家の扉に翼をぶつけたぁぁぁ!

 足の小指をタンスの角にぶつけたくらいの痛みがあああぁ!


「ペルセポネ……大丈夫か? 地味に痛いだろう?」


 うずくまるわたしに、ハデスが心配そうに話しかけてくる。


「痛いよぉ……うぅ……」


「翼は飾りみたいなものだからな。邪魔ならしまえるぞ?」


「わたしはやり方を知らないの。どうやったらできるのかな?」


「簡単だ。あとで教えてやろう。とりあえず今はわたしがやろう」


 ハデスの身体から黒いモヤが出てきて、わたしの翼を覆うと翼が消える。


「すごい……どうなっているの? あれ? ハデスも翼をしまったの?」


「ああ。邪魔なだけだからな。さぁ、急ごう。魔王様に気づかれないように宴の準備をしたいのだろう?」


 広場に着くと第三地区の皆が慌てていろいろな物を隠している。


「ほら、早くしねぇと星治が来ちまうぞ!」

「こっちの袋に全部隠せ!」

「星治にばれたら大変だぞ!」


 あぁ……

 すぐそこで見ているお父さんが困っているね。

 お父さんのあの様子だと、とっくに気づいていたみたいだ。

 やっぱり、第三地区の皆には隠し事はできないよね。


「星治はまだ来てねぇぞ! 急げ!」

「星治の喜ぶ姿が楽しみだなぁ」

「本当だなぁ。あははは」


 ん?

 お父さんが泣きそうになっているね。

 今からそんな感じだと、明日は大号泣の予感だね。


「よし、全部しまったぞ! はぁはぁ」

「おぉ! 星治、来たのか! いつの間に来たんだ? 気づかなかったなぁ! はぁはぁ」

「いやぁ! 今日は暑いなぁ。はぁはぁ」


 皆……

 全力で隠してくれたんだね。

 全部見られていたなんて言えないね。


 お父さんと目が合うと、少し困った顔で微笑んでくれる。


「えっと……突然来てごめん。珍しい果物をたくさんいただいたから皆で食べようかと思って」


「珍しい果物? 旨いか? 甘いか?」


 ヒヨコちゃんの姿のベリアルがつぶらな瞳を輝かせて喜んでいる。

 くぅぅ!

 今日も超絶かわいいよ!

 こっそり背後から吸っちゃおう。

 ん?

 ふふふ。

 今日もあるね。

 ベリアルの後頭部のアレ。

 堪らないね。


「食べた事がないから分からないけど、すごく甘いらしいよ? さっきリヴァイアサン王が来てくれてね。ぜひ、どうぞってね」


 お父さんがカゴに入った桃みたいな果物を広場のテーブルに置く。


「まぁ、リヴァイアサン王が来ていたのね? 第三地区にも来れば良かったのに。ねぇ? ぺるみ?」


 ばあばの言う通りだよ。

 明日も会えるけど今日も会いたかったよ。


「そうだね。一緒に果物を食べたかったよ」


「……あぁ、えっと(二人を怖がっていたなんて言えないよ)」


 ん?

 お父さんが小声で何か言った?


「あら? リヴァイアサン王がそんな事を言っていたの?」


 ばあばは耳がいいから聞こえたんだね。


「え? 何? なんて言っていたの?」


「わたしとぺるみが怖かったらしいのよ?」


「え? どうして怖いのかな?」


 何かしたかな?

 うーん。

 思い出せないな。


「ぺるみは忘れちゃったのかな? あの時、ドラゴン王とぺるみでリヴァイアサン王を何度も瀕死状態にしたり傷を治したり……」

 

 お父さんの顔がひきつっているね。

 あぁ……

 リヴァイアサン王がヴォジャノーイ王国に攻め込んだ時のアレか。


「あらあら、そんな事で怖がるなんてまだまだ赤ちゃんね。ふふ」


 ばあばから見ればリヴァイアサン王は赤ちゃんなのかな?


「そういえばそんな事もあったね」


 すっかり忘れていたよ。


「あれ以来魔族達は、ドラゴン王とぺるみだけは怒らせないようにって決めたらしいよ? あの場にいなかった魔族達も噂を聞いたらしくてね」


 お父さんが困ったように笑っているね。


「そんなに怖がらなくてもいいのに。かなり加減したのよ? ねぇ?」


 ばあばの言う通りだよ。


「そうだよ? ばあばは絶妙な力加減だったんだから。ねぇ?」


 あの時、現場を見ていたヴォジャノーイ族のおじちゃん達が震え上がっているね。

 そんなに怖くはなかったと思うけどな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ