表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

667/1484

バニラちゃんは素敵な母親だね(2)

 今までは、わたしの中に変態的に息子を愛している『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さん』の魂があったから親の欲目で分からなかったのかもしれないけど、一瞬ノーマルになった事で気づいたんだよね。

 でも、吉田のおじいちゃんもおばあちゃんもそんな事は言っていなかった。

 二人もベリアルがかわいすぎてその事に気づいていないのかな?

 あれ?

 バニラちゃんがフヨフヨ飛びながらわたしに抱っこされに来たね。

 フワフワで柔らかくて温かくて気持ちいいよ。


(ふふ。ペルセポネも温かいわよ?)


 あ、バニラちゃん?

 やっぱりまだ神力があるの?


(……え? あぁ……えっと……そうかしらねぇ? あはは……)


 ……?

 どうかしたの?


(……まぁ……わたしはあなたで、あなたはわたしだから……いいわよね?)


 え?

 何が?


(いや……だから……その……ペルセポネの神力を借りちゃったっ!)


 ……?

 え?

 借りちゃったって?

 そんな事ができるの?


(元々ひとつだったからペルセポネから力を借りる事ができるようね。借りるって言ってもわたしには神力が無いから返せないけれど。ちなみにペルセポネの考えている事は筒抜けみたいよ? 触れていなくても全て聞こえてくるわ)


 ……全て?

 わたしの変態の心が全部筒抜けっていう事?

 

(ふふ。そうね。ペルセポネにはわたしの心が聞こえていないようね)


 うん。

 何も聞こえてこないよ?


(元々わたしは心を聞かれないように暮らしてきたからかしらね? 何か考える時には今以上に気をつけて。おばあさんもウラノスもゴンザレスも心を聞く力があるから。……でも、だいぶ心を聞かれにくくできるようになってきたわね。さっきまで心で思っていた事もわたし以外には聞こえていないようだし)


 わたし、今まではおばあちゃんに秘密なんてほとんどなかったのに……

 悪い事をしている気分だよ。


(……仕方ないわ。ペルセポネには強すぎる力があるから。それは知られない方がいいのよ。ガイアの持つ力と同等の力があるなんて……下手をすれば次期神候補にされて身内で争う事になるわ)


 ……うん。

 そうだね。

 わたし……思ったんだけど、もしかして遥か昔のバニラちゃんは吉田のおじいちゃんとおばあちゃんより強かったんじゃ……


(……そう……かもしれないわね。戦った事はなかったけれど……あの容姿でなければウラノスの次の神になっていたかもしれないわね。でも、わたしは創られた人格だから。ベリアルの魂の方は闇の力を使いこなせてはいなかったし)


 闇の力を持つ神様……か。


(そうね。不思議だわ。遥か昔にはこう思っていたの。『あまりに力が強すぎて化け物の容姿で産まれてきた』と。でも、その考えだとウラノスやガイアが美しい天族の容姿で産まれてきた事に矛盾が生じるの。ハデスは闇に近い力だけれど美しく産まれてきたし。タルタロスのコットスは怪力ではあるけれど神力はほぼ無いように見えたわ? 一体何があると魔族に近い容姿になるのかしらね)


 バニラちゃんにも分からないんだね。

 吉田のおじいちゃんとおばあちゃんにもそれは分かっていないみたいだったよ。


(ガイアは……産まれてきた子を何度も手離さなければいけなかった。そして、手離した子を今でも愛し続けているのね。わたしもそうよ。ベリアルをずっとずっと……愛してきたの)


 うん……

 母の愛……だね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ