バニラちゃんは素敵な母親だね(1)
「……あら? 変ね。どうして寝癖が直らないのかしら」
バニラちゃんがベリアルの寝癖を直そうとしているけど、全然直らないみたいだね。
かわいい肉球で押さえても離すとピョコって立っちゃうよ。
ぐふふ。
堪らないね。
このかわいさは変態のわたしには毒だね。
ニヤニヤと興奮がとまらないよ。
「ん? やっぱり直らないか? この寝癖は風呂に入っても直らないんだ。モグモグ」
ベリアルがお菓子を食べながら嬉しそうにしているね。
母親のような存在のバニラちゃんから大切にされて幸せなんだろうね。
ずっと欲しかった『お母さん』……か。
「直らない寝癖? それは不思議ね。でも、すごくかわいいわ」
「えへへ。なんだか恥ずかしいな。バニラちゃんもお菓子を食べよう? 今日はクッキーを作ってもらったんだ。あと、カリントウとひとくちパイと……」
ベリアルが遠足に来ている子供みたいに楽しそうにしているよ。
「ふふ。ヒヨコちゃんとお菓子が食べられるなんて幸せね」
「オレも嬉しいよ。えへへ。すごく嬉しいよ」
ベリアルは天界でずっと寂しく暮らしていたから、母親として生み出されたバニラちゃんと一緒にいられて嬉しいんだろうね。
もっと早くにこうしていたら良かったのかな。
でも……
今だったから、こうなれたのかもしれないよね。
バニラちゃんは皆が幸せになれる時を待っていたのかもしれない。
すごく頭がいいみたいだし。
先の先まで考えていそうだよ。
目の前のお菓子の事で頭がいっぱいのベリアルと同じ魂だったのか……
信じられないね。
そういえば、バニラちゃんは毛玉の姿になったけど神力は使えるのかな?
古代の闇の力は今は魔王であるお父さんが使っているんだよね。
今までバニラちゃんが使っていた力はわたしの力だし。
今は特に神力は使えないのかな?
でも、さっきは毛玉の姿でも時をとめていたよね。
うーん?
「ペリドット様……あぁ……オレは夢の中にいるみたいですよ。かわいいヒヨコ様とバニラ様とゴンザレス様が仲良くお菓子を食べているなんて。ぐふふ。堪りませんよ。興奮で息が苦しくなってきました」
前の席のジャックがハアハアしながら話しかけてきたね。
「ぐふふ。わたしはもうノーマルじゃなくなった事に感謝しているくらいだよ。このモフモフとフヨフヨの楽園の素晴らしさに興奮がとまらないよ。『変態最高! 』って心から叫びたいよ」
「安心しました。ペリドット様がノーマルになったら『全種族ヒヨコ様アイドル化計画』が消えてしまうところでしたよ」
「わたしは自分が恥ずかしいよ。ノーマルの素敵な王女になりたかったなんて……自分を偽ってまで他人に良く思われても嬉しくなんてないよね」
「それでこそペリドット様ですよ!」
あぁ……
変態仲間は最高だよ。
……でも、さっき確かにベリアルから魅了の力を感じたんだよね。




