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毛玉の姿で~後編~

「そうだったんですか……うわぁ。真っ白でフワフワでかわいいなぁ。しっぽがフサフサですね」


 ジャックがすごくうれしそうに毛玉の姿の『遥か昔のわたしの魂』を見つめているね。


「うん。かわいいよね。耳もピョコピョコしているし」


「そうですね。抱っこしても嫌われませんかね?」


「ふふ。どうかな? 訊いてみたらどうかな?」


 ジャックは、初めてベリアルを撫でようとした時は『噛まないか』って心配していたけど今は嫌われないかの心配なんだね。

 ジャックらしい優しい考えだね。


「あの……抱っこしてもいいですか?」


 ジャックが毛玉の姿の『遥か昔のわたしの魂』に話しかけているね。

 不思議だよ。

 わたしの身体から出て今は毛玉の姿になって動いているんだから。


「もちろんいいわよ?」


「ありがとうございます! あれ? ペリドット様の声とそっくりですね」


「え? そうかしら」


 言われてみれば確かに同じ声だね。

 不思議だよ。


「うわあぁ! 甘い匂いだ。ケーキみたいに優しい匂いですね」


「え? あぁ……ちょうどニホンでケーキを焼いていたからかしら。バニラの香りかしらね。ふふ。今日のピクニックのデザートはケーキらしいわね」


「ケーキですか? うわあぁ! 楽しみだなぁ。これがバニラの匂い? ずっと吸っていたくなりますね。スーハースーハー」


 ジャックは完全に変態になったね。

 わたしのせいだよ……

 申し訳ないね。


「あらあら。ジャックは食いしん坊さんね」


 おぉ……

 吸われても嫌がらずに笑っているね。

 さすが母親のような存在だよ。


「それだ!」


 ベリアルのつぶらな瞳がキラキラに輝いているね。


「え? どれかしら?」


 おぉ……

 首を傾げる毛玉ちゃんもかわいいね。


「『バニラちゃん! 』 どうだ? かわいいだろ!」


 バニラちゃんか……

 甘くてかわいくて、よく似合っているね。


「まぁ……素敵な名前ね。嬉しいわ」


 本当に嬉しいんだね。

 しっぽがすごく揺れているよ。

 あれだけ大切に想っていたベリアルに名付けてもらえたから嬉しくて仕方ないんだろうね。


「バニラ様かぁ……よく似合ってますね」


 ジャックがニコニコしながらバニラちゃんを撫でているね。


「ありがとう。あら、ジャックは寝癖が立っているわね。ほら、椅子に座って?」


「え? あ、はい。あの、手が届きますか?」


「ふふ。わたしは浮かべるから大丈夫よ?」


「うわあぁ! さすが聖獣様ですね!」


 ……そういえば、バニラちゃんには神力があるのかな?

 今のバニラちゃんは、ベリアルの粘土でウェアウルフのお兄ちゃんが創った『毛玉のハデス』にそっくりな姿だけど……

 魂に神力は、なかったのかな?

 浮かんでいる力は神力なのかな?


「じゃあ寝癖を直すわね? ジャックの髪はサラサラね」


「はい。でも、寝癖が立ちやすくて……」


「そこもまたかわいいわね。ふふ。はい。直ったわ」


「うわあぁ! ありがとうございます。バニラ様は器用なんですね」


「ふふ。母の愛かしらね」


「母の愛?」


「……わたしは子供のお世話をするのが好きなの」


「そうなんですね。すごくかわいい『お母さん』ですね」


「まぁ……ふふ。ありがとう」


 確かに、すごくかわいいお母さんだよね。

 ……でも、さっきまでのベリアルは、おばあちゃんみたいな口調できちんと勉強しないと怒りそうだったよね。

 っていう事はバニラちゃんもそうなのかな?

 だとしたらしっかり勉強しないと大変な事になりそうだよ。


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