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毛玉の姿で~前編~

「おい……ぺるみはどうしたんだ?」


 あ、時間が動き出したんだね。

 抱っこされているベリアルが心配そうに話しかけてきてくれたね。


「えっと……うん……わたしは……ノーマルなわたしは変態に負けてさらに変態になって……あはは……負けたんだよ。わたしのノーマルは変態に負けたんだよ。わたしのノーマルは半日ももたなかったんだよ。あはは……ノーマルが弱いのか変態が強いのか……」


「どうしたんだ? あれ? ハデ……いや、え? 違うな。誰だ?」


 ベリアルが『毛玉の姿の誰か』に気づいたみたいだね。

 ハデスじゃない事は分かったみたいだけど……


「(後で詳しく話すけど、遥か昔の吉田のおじいちゃんの魂のわたしの方だよ。あ、名前をつけないと)」


「(ん? どういう事だ? オレに吸収されたはずだよな? )」


「(上手くひとつになれなかったみたいなの)」


「(……うさちゃんの母親なんだよな。オレが創り出した『理想の母親』でもある)」


「(……うん。そうだね)」


「(……初めてちゃんと話す気がする)」


「(ふふ。話しかけてみたら? きっと喜ぶよ)」


「うん……えっと……オレ……会えて嬉しいよ」


 ぐふふ。

 緊張しているヒヨコちゃんもかわいいね。


「……わたしも嬉しいわ。今は……ヒヨコちゃんと呼ぶわね」


 毛玉の姿のしっぽがすごく揺れている。

 嬉しいんだね。

 これからはベリアルを、母と子として甘やかす事ができるし、何より存在を知ってもらえた事が嬉しいはずだよ。

 あ……

 でも、おばあちゃんはどう思うのかな?


「……うん。オレは何て呼んだらいい?」


 ベリアルはずっと母親を欲しがっていたから嬉しそうだね。

 でも緊張もしているみたいかな?


「わたしには名が無いの。ヒヨコちゃんとぺるみで名付けて欲しいわ」


「オレとぺるみで? うん。えっと……何が良いかな?」


 いきなり言われてもベリアルも迷っちゃうよね。

 名前は大切だからね。


「そうだね……顔の大きさくらいの真っ白いフワフワの毛並みにキラキラの黒い瞳。犬みたいな耳にフサフサのしっぽ……普通に考えれば『わんちゃん』とかだよね」


「ぺるみは名前をつけるのが下手だな……」


「ええ!? そんな事ないもん! じゃあ、ヒヨコちゃんはどんな名前がいいと思うのかな?」


「そうだなぁ……強そうな名前がいいよな。ゴンザレスみたいな」


「え? 女の子だよね?」


「うーん。そうか……じゃあ……真っ白だから……雪はダメだな。うーん……月……ダメだ。うーん……難しいな」


 皆、第三地区にいる名前だからね。


「あの……すごくかわいいですけど……名前を考えているんですよね? でも、いつの間に来たんですか? 全然気づかなかったです」


 前の席のジャックが不思議そうに話しかけてきたね。


「あ、うん。えっと……この子は……聖獣だけどニホンに来たばかりで名前が無いの」


 っていう設定にしないと辻褄が合わないよね。

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