表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

662/1484

昨日の涙はなんだったの~前編~

「ええ!? ペリドット様が変態じゃなくなった!?」

「そんな、まさか! 世界が滅びるんじゃないか!?」

「やっぱり天変地異の前触れだ! あぁ……どこに逃げたらいいんだ」


 クラスの皆はわたしがノーマルになると世界が滅びると思っているんだね。

 

「あ……でも……」

「うん。そうだよね」

「落ち着いているペリドット様って……すごく綺麗」


 ……?

 クラスの皆がわたしを見つめているね。


「今まではヒヨコ様を見て鼻血とヨダレを垂らしたり、意地の悪い貴族に怒ったりクルクル表情が変わっていたけど……」

「今はすごく綺麗な王女殿下だよな」

「うん。うん。でも……なんか近づきにくくなったような」


 ……鼻血とヨダレ?

 わたしのイメージって酷くないかな?


「……ぺるみはオレを前みたいにはかわいがってくれないのか?」


 え?

 ベリアルが悲しそうにわたしを見つめてつぶらな瞳をウルウルさせているね。

 あぁ……

 前のわたしだったら『ぐふふ。涙目のヒヨコちゃんも堪らないね』って思っていただろうけど……


「えっと……ヒヨコちゃん……泣かないで?」


 抱っこしているベリアルがわたしを見上げているね。

 わたしを見つめて……

 つぶらな……瞳……


「ぺるみはオレが嫌いになったのか? オレがぺるみにばっかり嫌な事をさせたから……」


 つぶらな……瞳……

 ウルウルの……

 

「ぐふふ……」


 ……?

 え?

 何?

 今わたしが『ぐふふ』って言ったの?


「……? ぺるみ……?」


 ベリアルがわたしを見つめながら首を傾げているね。

 この感じ……

 もしかして魅了の力!?

 ルゥの時に使っていたからわたしには分かるんだよ!

 まさか……

 ベリアルには魅了の力があるの!?


「ぐふふ。ぐふふふ。ってダメ! 今日からは素敵な王女様になるって決めたのに! 『ぐふふ』はダメなんだよぉ!」


「いつものペリドット様だ!」

「良かったぁ。こうじゃなきゃ。あはは!」

「今日から素敵な王女殿下になろうとしていたんですか? あはは! 無理ですよぉ」


 クラスの皆が安心して笑っているね。

 まさか本当に天変地異の前触れとか思っていたんじゃないよね?


「うぅ……素敵な王女様が……遠退いていく……でも……ぐふふ。寝癖がないヒヨコちゃんも……激かわだあああぁぁぁ! スーハースーハー!」


「うわあぁ! やめろぉ! スーハーするなよ!」


 お?

 ベリアルもいつも通りになっているね。

 これってどういう事なのかな?


「ああっ! なぜかいきなりヒヨコ様に寝癖が立ってる!?」

「え? どうして!?」

「見て! ペリドット様が光ってるっ!」


 ……?

 わたしが光っている?

 どういう事?

 

(あ……ただいま)


 ……?

 え?

 ただいま?


(わたし、わたし)


 ……?

 わたし、わたし?


(ほら、昨日『さよならは言わない』って言った、わたしよ)


 ……!?

 ええ!?

 どういう事!?

 もうベリアルに吸収されたんじゃないの!?


(あぁ……それね。どうも、別の人格として生きてきた年数が長すぎてひとつにはなれなかったみたいなの。だからベリアルがなんだかおかしくなっていたでしょう?)


 え?

 じゃあ、あなたはこれからどうなるの!?


(……昨日……あんな感動的な話をして泣いたばかりで申し訳ないけれど……戻ってきたらダメ?)


 ええ!?

 そんな事ができるの!?

 確か記憶が多くなりすぎて混乱しちゃうって言っていなかった!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ