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わたしは今日から素敵な王女様として生きていくんだよ

 そんなこんなでアカデミーに来たけど……

 人間がベリアルを攻撃するかもしれないから今日は違う誰かに付いてきてもらおうって話したら『オレは大丈夫だから気にするな。腹を冷やさないようにしろ』って言いながら腹巻きを渡されたんだよね。

 リコリス王国は夏なんだけど……


「あ、ペリドット様……昨日は大丈夫でしたか? 市場に行ったジャック達から元気そうだったと聞いて安心しました。あら? ペリドット様はいつもと雰囲気が違いますね。まだ体調が戻りませんか?」


 廊下で一緒になったアメリアちゃんが心配そうに話しかけてきてくれたね。

 今のところベリアルを憎んでいる感じはしないね。

 もっと幼い子にしか補正力は効かないのかな?

 それとも補正力自体働いていないのかも。


「あ、うん。ありがとう。寝不足だったみたいで。それで……あの……何て言うか……わたしを心配しすぎたヒヨコちゃんが……その……」


「え? ヒヨコ様が……?」


「うん……心配性の母親みたいになっちゃって」


 皆で話し合ってそういう設定にしたんだよね。

 さすがにいきなり変わりすぎだからね。


「……え? それはどういう?」


「ほら、ぺるみ。クラスルームに着いたぞ? 元気良く皆に挨拶するんだ。一日の始まりは気持ちの良い挨拶からだ! アメリアもだぞ? ほら、早く『今日も朝から暑いなぁ。暑すぎてあせもができないように帰ったら湯浴みをして……あ、食品が傷みやすい季節だから皆も気を付けろよ? 』と季節ネタを混ぜ込んだ挨拶をするんだ」


「「……」」


 アメリアちゃんもベリアルの変わりように驚いて無言になっているね。


「ペリドット様……これは一体? いつものヒヨコ様なら朝は『お菓子が食べたい』しか話していなかったはずですが……」


 ……そのイメージもどうかと思うけど。

 確かにその通りだね。


「あはは……そうなんだよね。それにわたしのヒヨコちゃんに対する変態的感情もすっかりなくなっちゃったんだ」


「ええ!? 言われてみれば確かに……ヨダレも鼻血も垂れていませんね……これは天変地異の前触れでは!?」


 アメリアちゃん……

 心から天変地異を心配しているみたいだね。


「えっと……とりあえずクラスルームに入ろうか」


 廊下にいる他のクラスの人間に、これ以上わたしの変態を暴露されたくないからね。


「あぁ……そうですね。あぁ……天変地異……天変地異……」


 アメリアちゃんが遠い目になりながら呟いているね。

 わたしは、かなりの変態だと思われていたみたいだよ。


「皆、おはよう」


 さすがにクラスメイトに季節ネタを混ぜ込んだ挨拶は変だよね。


「あ、おはようございます。ペリドット様。今日は遅刻ギリギリじゃないんですね……って……あれ? いつもと感じが違いますね。やっぱり体調が悪いんじゃ……」


 前の席のジャックが心配そうに話しかけてきてくれたね。

 

「ジャックおはよう。体調はもう平気だよ? でも……ヒヨコちゃんが……その……わたしを心配しすぎて……」


「え? ヒヨコ様がどうかしたんですか?」


「ん? オレはいつも通りだぞ? ジャックは寝癖が立ってるぞ? ほら、椅子に座れ。リリーもいるんだから身なりには気をつけないとな。オレが直してやる」


「ええ!? ヒヨコ様が寝癖を直してくれるんですか!? そういえば今日のヒヨコ様は寝癖が立ってないですね!? これは一体……」


 え?

 あ、本当だ。

 今日のベリアルは寝癖が立っていないね。

 全然気づかなかったよ。


「ん? 寝癖が立ってるなんてヒヨコとして恥ずかしいだろ?」


「ヒヨコとして……恥ずかしい? え? あれ? どうしてペリドット様は鼻血もヨダレも垂れてないんですか? やっぱり体調が悪いんじゃ……普段なら『ぐふふ。寝癖がないヒヨコちゃんも激かわだよ』って言うはずなのに」


 ジャックまでアメリアちゃんと同じ事を言い始めたね。

 わたしは、かなりの変態だと思われていたんだろうね。


「えっと……今朝くらいからヒヨコちゃんに対する変態的感情がなくなったんだよね」


「ええ!? それって……まさか天変地異の前触れじゃないですか!?」


 ジャックまでそんな事を!?

 これでもわたしは神様の娘なんだからね。

 今日からは変態を卒業してニホンの素敵な王女様として生きていくんだよ。

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