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ベリアルだけが話している回

「モグモグ……うまぁぁい! モグモグ」


 ベリアルは朝からすごい食欲だね。

 スープもパンもおにぎりも何度もおかわりしているよ。


「ほら、ぺるみも食べろ。朝はちゃんと食べないと元気が出ないぞ? ほら、ハデスもばあちゃんも良く噛んで……」


 ベリアルは、すっかり母親みたいになっているよ。

 魂が吸収されたからかな?

 今までだったら『ぐふふ。母親みたいなヒヨコちゃん……堪らないね』って鼻血を垂らすところだけど……

 今は興奮しないね。

 やっぱりわたしはノーマルな天族になったんだね。


「ぺるみはまだパジャマなのか? ご飯を食べたら顔を洗って歯磨きをして……髪が乾燥しているんじゃないか? あ、まさか砂浜に寝っ転がってたんじゃないだろうな? アカデミーに行く前に風呂に入らないと……」


 ……ベリアルは母性が強くなったみたいだね。


「確か、髪につけるオイルがあったはず……あ、宿題は終わってるのか? ハンカチとリップグロスは持ったか? ほら、甘い物ばかりじゃなくておにぎりも食べろ」


 ……さっきからずっとベリアルだけが話しているね。

 他の誰かが話す暇がないくらい話し続けているよ。

 今まではこんな感じじゃなかったけど……

 これも母性なのかな?


「はぁ……この前の旅行でクッキーの値段が上がってたんだよな。しかも少し小さくなってたし。他の奴は騙せてもオレの目はごまかせないぞ? 不景気なのか? あ、そうそう。ぺるみは幸せの島の家の扉はちゃんと閉めてきたか? 砂が入り込むと掃除が大変だからな」


 言っている事がおばあちゃんみたいだね。

 でも、これが『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さん』の性格なのかな?

 うーん?


「ほら、ぺるみはぼーっとしてないで早く食べちゃいなさい。もう、いつまでも赤ちゃんなんだから。片付かないだろ?」


 ……よく、こんなにずっと一人で話せるね。

 そういえば、ピーちゃん……陽太お兄ちゃんのお母さんもこんな感じだったような。

 群馬ではわたしには母親がいなかったから良く分からないけど……

 天界のお母様は優雅に暮らしているから比べる対象外だし。

 

「さて、じゃあオレはアカデミーに行く準備をしてくるか。ぺるみも湯浴みをして髪にオイルを塗れよ? えっと……持ち物は……ハンカチと……」


 ……!?

 ベリアルがハンカチを持ち歩くって言ったの!?

 今まで一度だってそんな事は無かったよね!?

 お風呂上がりだって自分で乾かした事なんて無いし……

 こんなに変わるものなの!?


「ハンカチを持ち歩くのに袋が必要だな。ばあちゃん、何かないか? 肩からさげられるやつがいいな」


 ……本当にベリアルなんだよね?

 今までのベリアルだったら持ち物は絶対にお菓子だけだよ?

 しっかり者のヒヨコちゃんになったんだね。

 そのうち皆から『おかん』とか呼ばれそうな感じだよ。


「お? ちょうどいい袋だな。じゃあこれを拝借して……と。ほら、ぺるみは急がないと。『今やろうと思ったのに』とかは単なる言い訳だぞ? 『言われたからやる気がなくなった』なんてのは論外だ!」


 拝借?

 今まではそんな言葉は使っていなかったよね?

 ……おばあちゃんが増えたみたいになっちゃったよ。

 アカデミーで真面目に講義を受けないと確実に怒り出すね。

 昨日までのお菓子好きで赤ちゃんみたいなベリアルにはもう戻らないのかな?

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