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うさちゃんとハデス(2)

「ベリアルに魂が吸収されたのに?」


 母親の魂から離れたくなくてペルセポネの側にいたと思っていたのに。


「……ベリアルハ、ヘンタイニ、ナッタダケデ、ホカハ、ナニモ、カワラナイ」


 変態……

 確かにベリアルは昨日『ぐふふ』って笑っていたよね。

 わたしは『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さん』の魂がいなくなったら、今までの変態的感情が全部なくなったんだよね。

 ベリアルはこれから『変態のヒヨコちゃん』として生きていくのかな?

 ……今までだったら『ぐふふ。変態のヒヨコちゃんなんて堪らないね』ってなっていただろうけど。

 わたしはこれからノーマルな天族として生きていけるんだね。

 ……少し寂しいかも。


「ペルセポネ? どうかしたか?」


 ハデスが心配してわたしを覗き込んでいるね。


「あぁ……わたしはもう変態じゃないんだなと思って」


「……そうだな。あの変態的感情はペルセポネのものではなかったのだな」


 ……やっぱり変態だと思っていたんだね。

 まぁ、ベリアルを見て鼻血まで出していたし、仕方ないか。


「……今は、すっかり落ち着いたよ」


「そうか……まるで遥か昔のペルセポネの頃のように神々しいな……」


「え?」


「いや……昨日までは……なんと言ったらいいか……そうだな……陽気なモフモフ好き……か? だが今は可憐で美しく穏やかな……まさにあの頃のペルセポネだ。(いや、あの頃も多少は変態だったか?)」


 ……?

 小声で何か言ったみたいだけど聞こえなかったね。


「……やっぱり昨日までは変態だと思われていたんだね」


「あぁ……あれはあれで愛らしかったが……」


 ハデスが慌てて言い訳をしているね。


「見ただけで違いが分かるくらい変わったのかな?」


「そうだな。表情が落ち着いたな」


「……アカデミーでも気づかれるかな? わたしはもうベリアルに変態的には接しないし」


「それなのだが……ベリアルに魂が全て戻っただろう? 魂が完全な姿になった今、ベリアルが人間から迫害されるように『この世界の補正力』が働くのではないだろうか」


「あ……確かにそうだね。わたしは遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんではなくなったんだよね? でも……確か魂が『あなたはわたしでわたしはあなた』って言っていたの。それってわたしはまだベリアルの魂と同じっていう事なのかな?」


「……ベリアルに魂が吸収された今、それは誰にも分からないのかもしれないな」


「そうだよね……でも……もしかしたら……吸収された魂は吉田のおじいちゃんも知らないような事をたくさん知っていたんじゃないかって思ったの。上手く言えないけど……」


「そうか……」


 吉田のおじいちゃんが心の声を聞く力がある事は話せないからね。

 これ以上は話せないけど……


「あれ? うさちゃんは?」


 さっきまでそこで話を聞いていたけど……


「あそこだ。貝殻を拾っているな」


「え? あ、本当だ。ふふ。うさちゃんが自分で歩いて動くなんて珍しいね」


「子うさぎはずっと抱っこで移動していたからな」


 ハデスの言う通り、わたしの腕の中でずっとウトウトしていたよね。

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