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グリフォンのお兄ちゃんは素敵だね~後編~

「ぺるみ様……あの時……初めて聖女様だったぺるみ様にお会いした時……わたしは魔王の息子であるぺるみ様を……亡き者にしようとしていました。ですが……ぺるみ様の神々しさに、ひざまずかずにはいられませんでした。むせかえるような血の臭いの『死の島』が一瞬にして、輝くような『幸せの島』になり……わたしの愚かな心まで浄化されたように感じました」


 グリフォンのお兄ちゃんが懐かしそうに話しているね。

 わたしは、魔王の息子だって勘違いされていたんだよね。


「……お兄ちゃん。そうだったよね。すぐに仲良くなって、毎日遊びに来てくれたよね」


「はい。あの時ぺるみ様にいただいたパンは今でも宝物です」


「ばあばに頼んで腐らなくしてもらったんだよね」


「懐かしいです。つい最近の事なのに、ずいぶん昔のように感じます」


「そうだね。あれから色々あったからね」


「自信を持ってください。わたしも魔族達もぺるみ様を大切に思っているのです。遥か昔の魂に操られていたわけではありません」


「……ありがとう。それを伝えに来てくれたんだね」


「ぺるみ様……少し……空を飛びませんか? あの頃のように。今宵は星が流れていますから気晴らしになるはずです」


「うわあぁ! 素敵だね。うんっ! 背中に乗っていい?」


「はいっ! もちろんです」


 お兄ちゃんは離れていてもずっとわたしを心配してくれていたのかな?

 ありがたいけど……申し訳ないよ。

 わたしがもっときちんとしていれば安心させてあげられるのに。


「ささ、ぺるみ様。ゆっくり背中にどうぞ」


 お兄ちゃんがすごく嬉しそうに言ってくれているね。


「うん。おぉ……このフワフワの背中……久しぶりだよ」


「では、しっかり掴まっていてください」


「うん! うわあぁ! 星の中を飛んでいるみたいっ!」


「そうですね。浮遊島の夜のようです」


「世界の旅は楽しい?」


「はい。種族王から解放されてのんびり過ごしていますよ」


「そっか。パートナーさんと幸せに暮らしているんだね」


「え? あぁ……はい。そうですね」


「……? どうかしたの?」


「え? あの……息子の事になると……少し普段とは変わる……といいますか。かなり変わるといいますか……」


「それだけ息子さんを大切に思っているっていう事だね」


「あぁ……はい。まぁ……」


「お兄ちゃん?」


「あの……たぶんぺるみ様が想像している以上の激しさ……です」


「……? 激しさ?」


「はい。なんというか……種族王だったわたしでさえ恐ろしいと震えるほどでして……」


「……そうなの? すごく優しそうに見えたけど……」


「ぺるみ様……わたしはしばらく種族王代理となりました」


「え? じゃあ、息子さんは?」


「しばらく世間の厳しさを学べと言われまして……」


「世間の厳しさ? 誰に言われたのかな? あ、もしかしてパートナーさんに?」


「はい。息子は嫌がったのですが無理矢理に……」


「……息子さんも大変だね」


「はい。ですがわたしも息子も恐ろしくて逆らえず……しばらく息子がお世話になりますが、よろしくお願いします」


「え? お世話に?」


 しかも恐ろしいって?


「あ、ハデス様が帰ってきましたね。そろそろ幸せの島に戻りましょう」


「え? あ……うん」


 お世話って何だったんだろう?

 もしかして、しばらく魔王城の手伝いでもさせられるのかな?

 あのパートナーさん……そんなに怖そうには見えなかったけどな?

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