グリフォンのお兄ちゃんは素敵だね~前編~
「うわあぁ! 星が流れているよ。綺麗……」
幸せの島に戻って一人で砂浜に寝転がって星を見ているとグリフォンのお兄ちゃんがゆっくり歩いてくる。
「ぺるみ様……」
「あ! お兄ちゃん。お父さんとの用事は済んだの?」
「はい。ハデス様はもう少しかかりそうでした」
「そっか……」
「わたしも隣にいいですか?」
「うん! もちろんだよ。また一緒にいられるなんて嬉しいよ」
「わたしもです。あ……うさちゃんが見つかったそうですね」
「お兄ちゃんにはずっと捜してもらっていたのに申し訳なくて……」
「いえ。気にしないでください。今は?」
「うん。部屋で寝ているよ? 眠るのが大好きなの」
「そうでしたか。明日にでも紹介してください」
「すごくかわいいんだよ? えへへ」
「それは楽しみです」
「……」
「ぺるみ様? どうかしましたか?」
「あ……うん。遥か昔の『吉田のおじいちゃんの息子さん』に言われたの。やっぱり魔族の皆がわたしを好きになってくれたのは息子さんの魂の力らしかったんだ」
「ぺるみ様……それは……」
「……わたし……怖かったの。皆がわたしじゃなくて、魂と仲良くしたかったんじゃないかってずっと考えていたから」
「わたしは……ぺるみ様の魂を好きになったのではありません。ぺるみ様を好きになったのです」
「お兄ちゃん……えへへ。ありがとう。魂にも言われたの。魔族は進化したから、魂の力はもう効いていないはずだって。魔族は魂じゃなくてわたしを好きでいてくれるんだから疑ったら失礼だって」
「魂が……そうでしたか」
「お兄ちゃん……ありがとう」
「え?」
「今も心配して来てくれたんでしょう?」
「……はい。かなり辛そうでしたから」
「息子さんの事も心配な時に、ごめんなさい」
「息子は種族王ですから。傘下に入る全ての種族を守らなければいけません。厳しいようですが、息子の力で解決しないといけない問題なのです」
「……本当は、すごく心配なんだよね」
「……! ぺるみ様には敵いませんね。はい。本当はずっと付きっきりで守りたいくらい愛しています。ですが、それでは息子の為にならないのです」
「愛しているからそうするんだね」
「はい。ぺるみ様……わたしは息子を案ずるようにぺるみ様の事も……」
「お兄ちゃん……」
「ハデス様もヨシダさんもいてわたしなど必要ないかもしれませんが……」
「そんな! わたしはお兄ちゃんが大好きだからすごく嬉しいよ?」
「ぺるみ様……わたしは……ぺるみ様が心配で仕方ないのです。どうか心を壊すような事だけは……」
「ありがとう。でも……わたしは大丈夫だよ。ずいぶん心が強くなったから」
「そのようですね。ぺるみ様は……不思議です。今にも倒れてしまいそうなほど弱々しいのに、どんな時も巨大な壁を乗り越え前を向いている。それはなかなか難しい事なのですよ? 途中で諦めてしまいたくなるほどの高い壁だというのに……」
「わたしはそんなに立派じゃないよ。皆がわたしを支えてくれたからここまで来られたの」
皆には心から感謝しているんだよ。