最後の会話(6)
「……あの子が……わたしを恨んでいない……?」
吉田のおじいちゃんが苦しそうに言葉を絞り出しているね。
「ずっと息子さんの近くにいてくれた事に感謝していたよ?」
「あぁ……じいちゃんは……酷い奴だ……それなのに……」
もうおじいちゃんにはこの事で傷つかないで欲しいよ。
いつも笑っていて欲しいんだよ。
だから……お願い。
もう苦しまないで?
「ベリアルが幸せそうに笑っているから安心して吸収される事ができるって……だから……おじいちゃん……ありがとう。大好きだよ」
「……ぺるぺる」
「おじいちゃん……長すぎる時の中で息子さんをずっと見守ってくれてありがとう。『わたし』を愛してくれてありがとう。だから……笑って?」
「ちょっと待て……じゃあ……今、オレの中にはぺるみの魂がいるのか? ぺるみの魂はどうなってるんだ? 消えてないし……」
ベリアルがわたしの心配をしてくれているね。
「それは……わたしが知ったらダメだって……でも……ルゥと月海とペルセポネの記憶が多くなりすぎて、わたしの中にいられなくなったって……」
「じゃあ、ぺるみは死なないんだな?」
「うん。これからもずっと一緒だよ」
「……! ぺるみ……良かった。オレがぺるみを消したらどうしようかって……はぁ……安心した」
「ベリアル……これからもわたしと仲良くしてくれる? 今までみたいにずっとずっと仲良くしてくれる?」
「ぺるみ……もちろんだ。当然だろ?」
「ベリアル……ありがとう。これからもよろしくね?」
「あぁ、ほら、涙を拭いてやるからな?」
「ベリアルの翼が汚れちゃうよ」
「気にするな。泣いているぺるみを放っておけないだろう?」
「フワフワで気持ちいいよ……」
「……そうか。ぐふふ。……ん?」
え?
今ベリアルが『ぐふふ』って言ったような?
聞き間違いじゃないよね?
「あ……今ベリアルが『ぐふふ』って言ったの?」
「……オレが……このオレがそんな事を言うはずが……まさか……魂が吸収されて変態になったのか!? じゃあ、ぺるみの変態は元々オレの感情で今は魂が吸収されてオレが変態になったって事か!? そんなの……そんなの絶対に嫌だあぁぁぁ!」
……あれ?
前みたいに変態的にベリアルを見なくなったかも。
今までなら『ぐふふ。叫ぶヒヨコちゃんも激かわだよ』って思っていたはずだし。
じゃあ、わたしの気持ち悪いほどの変態はベリアルに戻ったんだね。
……安心したような、寂しいような。
でも、ベリアルの事を大切に思う気持ちは変わらないから。
約束通り、今からは『あなた』の変わりにわたしがベリアルを支えていくから……安心してね。