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最後の会話(5)

 消えるんじゃないわ。

 わたしが戻る事であの子に多少母性が増えるでしょうけれど……

 やっと家に帰れる。

 そんな感じよ。

 あの時、ウラノスがわたしを……悪だと思い込んであの子と別の魂にしてくれた事に心から感謝しているわ?

 ヨシダに伝えて……

『ありがとう。わたしはあなたを恨んでいない。息子の最初の友になってくれてありがとう。あなたは立派な父親よ』と。

 はぁ……

 本当の母親には勝てないわね。

 ガイアにはどうあがいても勝てないわ。

 所詮創られた母親……なのよね。


 そんな事ないよ!

 それだけは絶対に違うよ!

 あなたは……本当に……心から息子さんを愛していたの。

 本当のお母さんだよ……

 素敵な……お母さんだよ。


 ……!

 お母さん……

 誰かに認められるってこんなにも嬉しいものなのね。

 ……最後に見せるわ。

 あの子がこの世界で過ごした日々を……

 

 ……うん。

 ありがとう。

 絶対に忘れないよ。

 ずっとずっと忘れないよ。


 ……ありがとう。

 お別れの言葉は言わないわ。

 あなたはわたしで、わたしはあなただったから。

 わたしはこれからもベリアルの中にいるから。

 ……元気で……笑っていてね。

 愛しているわ。

 

 ……うん。

 わたしも……愛してる。


 


「ぺるみ? どうしたんだ? 腹でも痛いのか?」

 

 ……時が動き出したのか。

 ベリアルが泣いているわたしを心配して飛んできてくれたね。

 あぁ……

 ベリアルは……遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんは、あんなに辛い時を過ごしてきたんだ。

 最後に見せてもらった息子さんの過去はかなり酷いものだった。

 でも……

 ずっと吉田のおじいちゃんが側にいてくれたんだ。

 優しい瞳で見守ってくれていたんだね。


 おばあちゃんとおじいちゃんは時が止まっていた事に違和感があるみたいだね。

 さすが初代の神様とその母親だよ。

 でも……この二人を止めるなんて、もしかして吉田のおじいちゃんの息子さんはかなりすごかったんじゃないのかな?

 ……その魂を受け入れた『ペルセポネ』の身体は、かなりの力を持っているのかな?

 はぁ……

 今は遥か昔のわたしの魂はベリアルに吸収されたんだね。

 これからはベリアルとずっと一緒にいられるんだ。

 でも……


「……ベリアル……うぅ……ベリアル」

 

「どうして泣いてるんだ? やっぱり具合が悪いのか?」


「違うの……違うんだよ……心が……痛いの……」


「……話してみろ。オレが一緒に悩んでやるから。一緒に泣いてやるから。オレはぺるみを一人で泣かせるほど冷たくないぞ? ん……? いつもよりぺるみの事が心配になるような……?」


「……ベリアル。うぅ……」


 やっぱりベリアルに母親の心が吸収されたんだね。

 消えてなんていなかったんだ。


「なんだよ……泣くなよ。オレまで泣きたくなるだろ? うぅ……」


「今……遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんの魂と話したの」


「……え? どういう事だ?」


 ベリアルが真剣な顔になったね。

 第三地区にいた皆も集まってきてくれたよ。


「これ以上わたしの中にいたら、わたしの記憶に害が出るからベリアルの魂と一緒になるって……うぅ……」


「それは……!?」


 吉田のおじいちゃんがかなり驚いているね。


「おじいちゃん……伝言だよ。『わたしはあなたを恨んでいない。息子の最初の友になってくれてありがとう。あなたは立派な父親よ』って……」


 きちんと伝えたからね。

 あなたの気持ちを……

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