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じいじとルゥの眠るベット~前編~

 魔王をしているお父さんの誕生日の前日。


 吉田のおじいちゃんは結局冥界には来なかった。

 お父さんの誕生日の宴の準備を一生懸命手伝ってくれていたからかな?

 この数日は、紙でお花を作ったりメッセージボードとかプレゼントを作ったりとかで、とにかく忙しかった。

 第三地区の皆は、わたしがお父さんの誕生日のお祝いをした事がないのを知っていたからずっと手伝ってくれた。

 お父さんには内緒で進めているから、当日は喜んでくれたら嬉しいな。

 最近、いつも以上にご機嫌でニコニコのお父さんの顔を見ると気づかれているような気もするけどね……


 明日の宴の為に群馬からドラゴン王のばあばと、先代の神様のブラックドラゴンのおじいちゃんが帰ってきてくれた。


 ばあばはヴォジャノーイ族と約束したお酒が飲める事をすごく楽しみにしているんだよね。

 お酒を飲んだばあばが暴れたら、お父さんが止めてくれるはず。

 きっと……

 たぶん……


「あのね? ばあばにお願いがあるの」


「あらあら、かわいいルゥ……今はぺるみだったわね? ぺるみのお願いならなんでもきいちゃうわよ?」


「ありがとう。ずっと待っていたの。こっちに来て欲しいの」


 ばあばと手を繋いでルゥとじいじが眠っている家に入る。


「あら? ヴォジャノーイちゃん? どうしてここに? しかも凍っているの?」


「うん。お父様が第三地区に隠していたの。天族じゃないから天界に連れていけなくて……ルゥの隣に眠ってくれたらルゥも寂しくなくなるんじゃないかと思ったの」


「そうね。ルゥとヴォジャノーイちゃんが揃っているなんて……なんだか不思議ね。少し前までは当たり前の事だったのに」


「そうだね。巻き込んでしまって申し訳なかったけど……すごく感謝しているの」


「ふふ。ルゥが嬉しそうな顔をしているように見えるわね」


「うん……わたしにもそう見えるよ?」


「ぺるみはヴォジャノーイちゃんをどうして欲しいのかしら?」


「氷を溶かして……永遠に腐らなくして欲しいの。このままじゃ寒くてかわいそうだから」


「そうね。任せて。ずっと寒かったわね。これからはルゥの隣で眠れるわよ?」


「火の魔法石を弱く使って氷を溶かすか?」


 火の魔法石を使える人魚のおじちゃんが氷をゆっくり溶かしてくれる。

 吉田のおじいちゃんのアイディアで人魚一人一人に水の魔法石を持ってもらう事になったんだ。

 その魔法石で水の塊を作って下半身だけ入ってもらって、その水の塊ごと島を移動できるようにしてもらったんだよね。

 さすが初代の神様だよ。

 陸で水の塊に入った人魚達を見た時にはすごく驚いたけどね。

 もっと早くこの方法を思いついていれば、魚族長は呪いを解かなくても陸に上がれていたんだね。


「ありがとう。人魚のおじちゃん。助かるよ」


「前ヴォジャノーイ王には世話になったからな。人魚族の命の恩人なんだ」


 人魚が人間に襲われた時に、じいじが隠して助けてあげたんだよね。

 助け……たんだよね?

 魔法石で鍛錬された時の方が命の危機があったように思えるけど……

 うーん。

 深く考えないでおこう。


「氷が溶けたわね。じゃあ、ルゥの隣に寝かせてあげて?」


 ばあばが優しく微笑みながら、じいじを見つめている。


「我々にさせてください」


 ヴォジャノーイ族のおじちゃん三人が悲しそうな、嬉しそうな表情でじいじの身体をベットに寝かせてくれる。


「あぁ……まるであの頃のようだ。前王様の隣にはいつも笑っている姫様がいて……」

「姫様じゃなくて前王妃様だろう? 前王様に叱られるぞ? うぅ……」

「うぅ……前王様も前王妃様もお幸せそうだ」

 

 ヴォジャノーイ族のおじちゃん達が涙を流して以前の事を思い出している。

 ずっとルゥとじいじを近くで見守ってくれていたから……

 本当にありがたいよ。

 ペルセポネの身体に戻って、今はルゥの身体ではないけど……心が温かいよ。

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