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最後の会話(1)

「あぁ、ほれ、夕飯前にお菓子はダメだ。晴太郎はれたろうにも困ったもんだなぁ」


 おばあちゃんが笑いながら呆れているね。


「ベリアルがかわいくてなぁ。お月ちゃんもかわいいなぁ。はい。マシュマロだ」


「晴太郎は仕方ねぇなぁ。おお、うまいなぁ」


「じいちゃん、おかわりっ!」


 ……!

 父親と母親と息子……か。

 ベリアルは幸せそうだね。

 ……わたしはもういらないのか。

 ……?

 あぁ……

 遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんが創り出した『母のような存在』がわたしなんだ。

 その心が幸せそうなベリアルを見て満足しているのかな?

 ……?

 違う……

 そんな甘い感情じゃない……

 これは……

 嫉妬?

 違う……身体が震えるほどの憎悪?


 ずっとわたしが守ってきたのに!

 わたしの息子は奪わせない!

 

 ……やめて。

 そんなの違うよ。

 

 何が違う!?

 わたしの息子だ!

 あの子はわたしの息子なんだ!

 実の親に捨てられて……あの子だけがわたしの家族だった!


 それは違うよ。

 魔族の姿になった吉田のおじいちゃんがずっと側にいてくれたでしょう?


『あの子だけがわたしの家族だった』?

『わたしだけがあの子の家族だった』じゃなくて?

 なんだろう?

 違和感があるよ。


 ……殺す。

 皆殺しだ。

 オレの幸せを奪った奴らを全員消し去ってやる!

 オレを好きならやってくれるよな?


 ……?

 何?

 感情が安定していない?

 違う。

 さっきまで話していたのが『わたしの感情』で今は『ベリアルの感情』?

『オレを好きなら……』どこかで聞いたと思ったら遥か昔のベリアルが話していた言葉だったの? 

 でも……違和感しかないよ。

 

 違和感……さすがに自分は騙せない……か。


 え?

 わたしに話しかけているの?


 ……ペルセポネ。

 いや、ぺるみ……ね。


 遥か昔のわたしの心?


 そうね。

 まず……


 え?

 どうして?

 皆の動きが止まった?

 また、おばあちゃんがやったの?


 それは違う……

 わたしがやったの。


 ……え?


 ぺるみ……

 神力は親から子へと受け継がれる。

 でも、それは孫やひ孫の代になって現れる時もあるの。

 

 ……?

 おばあちゃん……ガイアが持っていた力をひ孫のわたしが受け継いだっていう事?


 真実がそうかは分からない。

 でも……その可能性は高いわ?


 じゃあ、攻撃を受けてその力を吸収したっていうのは?

 わたし……魔法石が無くても水とかの力を使えたの。


 それはガイアの力を受け継いだからよ?

 ガイアは全ての属性の力を使えるから。

 ペルセポネの身体に戻ったからその力を使えるようになったのね。


 どうして、それを知っているの?

 遥か昔にガイアに会った事があったの?


 無いわ。

 でも……わたしにも心を聞く力があるから。

 そして、偽の心を同じ力を持つ者に聞かせる方法も分かっているの。


 それで、遥か昔の吉田のおじいちゃんを騙していたんだね。

 自分を悪者だって思わせていたんだよね?

 ベリアルを守る為に……


 あの子は心が病んでいたの。

 それは日に日に酷くなって……

 このままでは闇の力が暴発してしまうと思ったの。

 あの子は毎日わたしを試したわ?

 信頼できるのか。

 裏切らないのか。

 何があっても捨てないのかとね。

 わたしは……あの子に創られた存在なのに、その行動に疲れ果ててしまったの。

 

 ……ベリアルの心は、そこまでわたしを追い詰めていたんだね。

 すごく病んでいたって……どんな感じだったのかな?

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