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グリフォンのお兄ちゃんと~前編~

「あの……オレはもう帰っていいのか?」


 え?

 イフリート王子はまだいたんだね。

 すっかり忘れていたよ。

 って失礼か。


「ナンダ。マダ、イタノカ。オマエニ、ペルセポネハ、ヤランゾ」


 うさちゃんは娘を嫁にあげたくない父親みたいな事を言い出したね。


「うさちゃん、イフリート王子は友達だよ? たまに遊びに来てくれるの」


「……友達……か。えっとあいつは魔王の島にいるんだよな。はぁ……やれやれ。あいつはオレを見る目が怖いんだよ。あいつが戻る前に帰らないと」


 イフリート王子が辺りをキョロキョロ見回しているね。


「あいつ? ハデスの事?」


「ハデス……か。ヴォジャノーイ族じゃなかったんだよな」


「うん。ハデスは冥王だったの。天族の姿になってからハデスに会ったよね? 天界の死者が行く世界の王様なの。ちなみに神様である『お父様』のお兄さんでもあるんだよ?」


「……神の兄か。だから強いんだな。どうやっても勝てないはずだ。冥王? だから偉そうなのか」


「あはは。わたしもハデスには勝てないよ。あ、でもうさちゃんは前に一度本気でやり合ったんだよね? ケルベロスから聞いたよ?」


「ソウダッタナ。アノトキハ、ヤリスギテ、シマッタ。アイツハ、ナカナカ、ツヨカッタナ。オレノ、カチ、ダッタガ」


「愚かな……わたしの勝ちだった」


 あ……ハデスが帰ってきたね。


「アタマガ、ワルイ、ヨウダナ。アレハ、オレノ、カチ、ダッタ」


「子ウサギは記憶力が乏しいようだな。脳みそが小さいからか? あの時はわたしの勝ちだった」


「ソレナラバ、オモイ、ダサセテ、ヤロウ」


「望むところだ」


 子供のケンカみたいだね。

 ……この二人がやり合ったら大変な事になっちゃうよ。

 あれ?

 イフリート王子がこっそり帰ったね。

 ジャバウォックが名残惜しそうにわたしを見つめていたよ。


「ははは。二人ともそれくらいにしようね?」


 お父さんが困ったように笑いながら歩いてきたね。

 ……!

 隣にいるのは……


「グリフォンのお兄ちゃんっ!」


 駆け寄って抱きしめるとかわいい肉球でほっぺたをチョンチョンしてくれる。

 確か今はグリフォン族の浮遊島が海に浮かんでいる時期だったはず。

 色々あったから心配して世界旅行の途中で帰ってきたのかな?


「ぺるみ様……あぁ……ずっと会いたかったです」


「うんっ! わたしもだよ? えへへ。グリフォンのお兄ちゃんはフワフワだね」


「はい。日頃から手入れしていますから。あぁ……ぺるみ様……先日は息子が大変お世話になりました」


「え? あぁ。グリフォン族の島にゲイザー族が攻めてきた時の事?」


「はい。先程ゲイザー族から正式に謝罪を受けまして……」


「あぁ……うん。お父さんから聞いたと思うけど……誰かが人間じゃなくて弱い魔族を食べるべきだって言っていたらしいの。それで、ゲイザー族は種族王になって生き延びようとしたらしくて……ごめんなさい」


「……ぺるみ様が謝る事ではありませんよ?」


「ゴンザレスも他のゲイザー族も皆大切な家族なの。だから……赦して欲しいなんてわがままだけど……でも……本当にごめんなさい。攻め込まれた息子さんは大変だったのに。わたし……酷いよね」


 自分勝手で申し訳ないよ。

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