うさちゃんとベリアルの気持ち(3)
「うさちゃん……遥か昔のオレの魂の事を話して欲しいんだ。オレ、全然思い出せなくて……怖いけど聞かないとダメだと思うから」
ベリアルは勇気を出したんだね。
前に進もうとしているんだ。
「……キイタラ、ナニカガ、カワルノカ?」
うさちゃんはそんなにベリアルが嫌いなのかな?
「変わる……? ……オレは意気地無しだから……何も変われないかもしれない。でも……これ以上ぺるみだけに背負わせるのはダメだから」
「……クチダケ、ジャ、ナイノカ? ハナシヲ、キイタラ、マタ、ココロノソコニ、トジコモルンジャ、ナイノカ?」
「……オレは本当にダメな奴だったんだな」
「ソウダナ。ホントウニ、ダメナヤツ、ダッタ。ダガ……イマハ……スコシハ、マシニ、ナッタ、ヨウダ」
「……本当か? 良かった……これ以上ぺるみに迷惑をかけられないからな。今度はオレがぺるみを守るんだ」
「オマエガ……? ハッ! オマエ、ゴトキガ、デキルハズ、ナイダロウ。ペルセポネハ、オレガ、マモル!」
「え!? 普通こういう時は『そうか、頑張れ』って言うもんだろ!? うぅ……」
「オレニハ『フツウ』ガ、ワカラナイ、カラナ。ダガ……マエホド、キライ……デハナイ……カモナ」
「ええ!? 本当か!? でもさ……ぺるみとオレは元々ひとつだったんだよな? って事はうさちゃんは遥か昔のオレの闇の力から生まれたんだろ? じゃあ……オレはうさちゃんの父親って事だよな?」
「……アリエナイナ」
「え? だってぺるみは母親なんだろ?」
「……オマエ、ミタイナ、チビヒヨコガ、チチオヤ、ナンテ、オコトワリダ」
「……チビヒヨコ? うさちゃんだってチビウサギだろ!? うわあぁぁん! ばあちゃん! うさちゃんが意地悪するよぉ」
「フン! コレダカラ、チビヒヨコハ、ダメナンダ!」
……この二人は絶対に仲良くなれそうにないね。
でも……
「ははは! うさちゃんとベリアルは仲良しだなぁ!」
おばあちゃんは、すごく嬉しそうだよ。
どう見ても仲良しには見えないけど……
もしかしたら……
ゴンザレス!
もしかして、うさちゃんとベリアルは本当は仲良くしたいと思っているのかな?
(……いえ、うさちゃんは心底ベリアルが嫌いですね。ベリアルは仲良くはしたいようですが、どう接したらいいか分からないようですよ? 悪口を言われるのが嫌なようですね。普段は第三地区と人間達からチヤホヤされて悪口なんて言われませんからね)
そうなんだね。
なかなか難しいね。
ベリアルもうさちゃんも仲良くしてもらえたら嬉しいけど、無理矢理仲良くさせるのは違うからね。
(ハデス様にもそうですが……うさちゃんは嫉妬心が強いようです。他の方にはここまで態度は悪くありませんからね)
嫉妬心?
ハデスには分かるけど、ベリアルにも嫉妬しているの?
(あぁ……そうですねぇ。ベリアルは態度に出やすいですから。ベリアルの気持ちに気づいていないのは、ぺるみ様だけだと思いますよ?)
ん?
ベリアルの気持ちって?
(え? それはオレからは言えませんよ……それにベリアルは気持ちに蓋をすると決めたようですし)
ええ!?
教えて欲しいよ。
ベリアルの事は全部知りたいんだから。
(うーん……申し訳ありません。これはベリアルの気持ちを大切にしたいというか……それに、オレから聞くより直接ベリアルのクチバシから聞いた方がきっと嬉しいはずですよ?)
あぁ……
うん……
これ以上しつこくしたら困らせちゃいそうだから……
いつかベリアルが話してくれる日を待つよ。
そうした方がいい事なんだよね?
(はい。ところで、ぺるみ様は今日は幸せの島に泊まる日でしたよね? 嬉しいお客さんが魔王の島に来ていますよ?)
え?
嬉しいお客さん?
(はい。ハデス様と魔王様と話をしているようですね)
誰だろう?
(オレから聞いたら会った時の感動が減ってしまいそうですから……もうすぐ第三地区に来る頃ですよ?)
……?
魔族の誰かだよね?
誰だろう。




