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うさちゃんとベリアルの気持ち(2)

「うさちゃん……ごめん。わたし……ずっとうさちゃんを傷つけていたんだね。今だって全然遥か昔の記憶が蘇らなくて……」


 申し訳なくて自分が情けないよ。


「ペルセポネノ、セイデハ、ナイ。イマハ、コウシテ、トモニ、イラレテ、シアワセダ」


「うさちゃん……」


「オレハ、ペルセポネガ、ワラッテ、クレテイレバ、ソレダケデ、シアワセダ」


「……」


 胸が締めつけられて何も言えないよ。

 こんなにも想われているのにどうしてわたしは遥か昔の『吉田のおじいちゃんの息子さん』の時の記憶が蘇らないんだろう。


「ペルセポネ……ソンナ、カオヲ、スルナ」


 うさちゃんが心配そうにわたしを見つめているね。


「……だって……わたしは……本当にダメだね。うさちゃんをこんなに苦しめていたのにも気づかないで……本当にごめん」


「ソンナ、フウニ、オモウナ。ハルカ、ムカシノ、ペルセポネノ、タマシイガ、ヨミガエロウト、シテイナインダ」


「蘇ろうとしていない?」


 やっぱりそうだったんだね。

 なんとなくそうなんじゃないかとは思っていたけど……


「どうして蘇ろうとしないのかな?」


「……アノコロノ、ペルセポネハ、ツカレハテテ、イタ。ソノ、キモチヲ、イマノ、ペルセポネニ、オモイ、ダサセタク、ナインダロウ」


「思い出させたくない……?」


 わたしがベリアルを嫌いになるかもって心配しているっていう事?

 

「……遥か昔のわたしは……ベリアルが嫌いだったの?」


「……イヤ。チガウ。ムシロ、ヘンタイテキニ、アイシテ、イタナ」

 

「え? それって今のわたしみたいに?」


「……アア。ソレダケデハ、ナイ。ニンゲントノ、アイダニ、デキタ、シソンタチノ、コトモ、ヘンタイテキニ、アイシテ、イタ」


 ……そういえば、前に『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんは子孫を溺愛していた』みたいな事を言われたよね。

 溺愛……変態的に……?

 それがわたしの魂……?


「じゃあ、ベリアルの方の魂は子孫をどう思っていたの?」


「……ソウダナ。ヒドク、フアンテイナ、セイシン、ジョウタイ、ダッタカラナ。ソノ、トキドキデ、チガッタ、ヨウダ」


「そう……」


 不安定……か。

 かなり人間に傷つけられていたみたいだからね。

 でも、子孫が自分を庇って怪我をした時に力が暴発するくらい錯乱したんだよね?

 じゃあ、やっぱり子孫を愛していた?

 うーん……


「オレは……そんなに不安定だったのか? ずっとぺるみに迷惑をかけ続けてたのか?」


 ベリアルが辛そうに小さく震えているね。


「……ソウダナ。イヤナ、コトハ、スベテ、ペルセポネニ、ヤラセテイタ。ズット、ココロノ、ソコニ、ニゲコンデ、イタ」


「……オレは……最低だ……だから、うさちゃんはオレが嫌いなんだな」


「ペルセポネハ、オレノ、ハハオヤダ。ハハオヤヲ、キヅツケル、ヤツヲ、スキナ、ハズガ、ナイダロウ」


「母親……母親か……」


『ベリアル』は母親から産まれてきたと思っているんだよね。

 でも、その真実をわたしがベリアルに伝えるのは絶対に違うよ。

『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さん』の時は母親から産まれてきたけど……

 ベリアルはその母親が誰なのか知らないから……

 心が痛いよ。

 でも……『その母親』は名乗れなくて、わたしよりもっと辛いはずだよ。


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