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ウリエルが幼女に目覚めた時

 夜になり、ハデスと冥界に戻るとケルベロスが嬉しそうに出迎えてくれる。


「ペルセポネ様! あぁ……良かった。帰ってきてくれた」

「早く撫でてください!」

「幸せだあ。疲れが癒されていく」


 今日も大変だったんだね。

 かわいそうに……

 ハデスの仕事を全部やらされているんだよね。


「あ、そうだ。あのね? 第三地区でカップケーキを作ったの。食べてくれるかな?」


 ケルベロスは甘い物に目がないんだよね。


「「「うわあぁ! 旨そうだ!」」」


 おぉ……

 三つの頭の声が揃ったね。

 かわいいなぁ。


「今度、吉田のおじいちゃんが冥界に遊びに来たいって言っていたよ?」


「そうですか。確か初代の神のウラノス様だったのですよね?」


 ふふ。

 口の周りにクリームが付いている。

 かわいいなぁ。


「そうだよ? ケルベロスは神様の時のおじいちゃんを知っているのかな?」


「はい。今の神と同じ感じでしたよ? ウリエルもその頃から苦労が絶えませんでした」


 今の神様?

 お父様の事だよね。


「そうなんだね。苦労している姿が目に浮かぶよ。ウリエルはその頃から幼女のフィギュアを作っていたのかな?」


「フィギ……? それはなんですか?」


「人形……かな?」


「あぁ……それでしたら最初に作った人形はデメテル様のお姿でしたよ?」


「……え? どういう事?」


「はい。まさに理想の幼女だと言って大興奮でした。あの時のウリエルの嬉しそうな顔は今でも覚えていますよ。確か、綺麗な一輪の花を手渡された時に衝撃が走ったそうで。花よりも美しい幼女の姿に世界が輝いて見えたらしいです」


「お母様はわたしとそっくりだよね……だからわたしも理想の幼女だったわけか……そして次はわたしとハデスの子供に目をつけているんだね」


「作った年代の違いそうな人形があったのはそういう事か……あれはデメテルだったのか」


 ハデスはウリエルの作ったフィギュアを全部見た感じだね。

 数千年前に見た時にもかなりの数だったけどまた増えたのかな?


「わたしとお母様以外のフィギュアはなかったのかな? 今は月海るみの姿を作り始めているんだよね?」


「てっきり全てペルセポネだと思っていたのだが……そうだな。デメテルとペルセポネだけだった」


 ハデスはどんな気持ちでフィギュアを見ていたのかな?

 本当に幼女が好きになっていないよね?

 わたしの事を嫌いにならないよね?

 うぅ……

 不安になってきたよ。

 あれ?

 まさか、ウリエルは……

 

「ウリエルはお母様の事が好きだったのかな?」


「それはないと思いますよ? ウリエルは幼女しか愛せないようですから」


 ケルベロスがカップケーキをご機嫌で食べながら教えてくれたね。


 良かった。

 安心したよ。


「そうなんだね……お母様とわたしが幼女じゃなくなった時は辛かっただろうね」


「目も当てられませんでしたよ……」


 想像がつくよ。

 ウリエルは今は月海のフィギュアで頭がいっぱいだから、わたしとハデスの子供への興味は薄くなったかな?

 あれ?

 もしかして、そうさせる為におじいちゃんは月海の写真をウリエルにプレゼントしていたのかな?

 うーん。

 吉田のおじいちゃんのする事には全部考えがあるみたいだし。

 じゃあ、冥界に遊びに来るのも何か理由があるのかな?

 天界から冥界に来る為には手続きの関係で二日はかかるんだよね。

 早ければ二日後には天界に来るんだね。

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