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魔術科の広場で(11)

「でも……それじゃあ……地元の皆が……」


 ジャックも本当は自分の思うように生きたいんだよね。


「これは領主が解決しなきゃいけない問題だよ? ジャックが背負うべきものじゃない。子供になんとかできる問題じゃないからね」


「殿下……」


「魔素が祓われてこれからは幸せに暮らせると思っていたけど……実際は問題が山積みで……なかなか上手くいかないね」


「心が痛いです。オレ……申し訳なさすぎて……ごめんなさい。聖女様は命がけで魔素を祓ってくれたのに……」


「謝らないで欲しいよ。わたしはジャックに幸せに生きて欲しいだけなの。四大国の王様達がこれから皆が幸せに暮らしていけるように考えてくれているから。ジャック……『自分の夢を叶える為に魔術の練習をする』のと『他人にやらされて魔術の練習をする』のとどっちがいい?」


「……! オレは……やっぱり……魔塔に行きたいです。本当はずっと魔塔に憧れていたんです」


「……うん。じゃあ、優秀な人間がたくさんいる魔塔に行っても大丈夫なようにビシビシやるからね」


「はいっ! お願いしますっ!」


「……おい。ジャック……それは、やめた方がいいぞ? モグモグ」


 ん?

 ベリアルがクッキーを食べながらジャックに話しかけているね。


「え? やめた方がいい……ですか?」


「そうだぞ。ぺるみはとんでもなく恐ろしい奴に魔術を習ったんだ。そいつはギリギリ避けられないくらいの攻撃を連続でしたり、死んだ方がましなくらいの鍛錬を休みなくさせるような奴で……だから、ぺるみは感覚が普通の奴と違うんだ。こいつがビシビシやったらジャックは秒でこの世とおさらばだな。モグモグ」


 ベリアル……

 それってハデスの事だよね?

 

「ええっ!? そんな! そんなのは困る……でも、魔術の使い方は教えて欲しいし……」

 

「魔術はオレが教えてやるよ」


「ええっ!? 神様のペット様が!? ありがとうございますっ!」


 ……ジャック。

 そんな簡単にベリアルに先生を頼んだらダメだよ。

 最近ベリアルは粘土は『こねる』けど火の力を全然使っていないからね。

 嫌な予感がするよ。

 すっかりかわいいヒヨコちゃんになっちゃったから下手したら制御できなくて大変な事に……


「よし! 手本を見せてやる。このパンをカリッと温めてやるからな」


 ……ベリアルはかわいいヒヨコちゃんだけどかなり強かったって言っていたよね?

 パンを温めるくらいならさすがに大丈夫だよね?

 火事になんてならな……


「うわあぁ!」

「きゃぁぁあ!」


 ……嘘でしょ!?

 ベリアルのクチバシから炎が出続けているよ!?

 マリーちゃんとジャック達が大慌てしているよ。


「ちょっと! ヒヨコちゃん!? もうパンが丸焦げだよ!?」


「分かってるけど止まらないんだ! あちち!」


 ベリアル!?

 制御できなくなっているの!?


「ええっと……とりあえず……水!? いや、氷!? どうしよう……」


 ベリアルが燃えちゃうよ!

 あれ?

 確か創り物の身体なんだよね?

 でも熱がっているし……


「ぺるみ! 助けてくれ!」

 

 考えている場合じゃないね。


「とりあえず頭から水をかけ……いや、待って? この炎に水をかけたら水蒸気で大やけど……? どうしよう……うぅ……」


「ぺるみ……熱い……」


「どうしよう……わたしにはどうしたらいいか分からないよ……おじいちゃん……吉田のおじいちゃん! 助けて! おじいちゃん!」


 ベリアルが燃えちゃうよ。

 どうしたらいいの!?

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