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魔術科の広場で(2)

「……マリーちゃん。初めて会った時と変わったね」


 こんな『ぐふふ』なんて笑い方はしていなかったよね?


「え? そうですか? どんな風に変わりましたか?」


「うぅ……それは……」


 さすがに変態になったなんて言えないよね。


「もしかして……変態になったって言いたいんですか?」


 ……!

 しまった。

 顔に出ていたのかな?


「あの……わたしの変態がうつったのかもって……なんかごめんね」


「変態がうつった? プッ! あはは! 本当にペリドット様は楽しいですね」


「え? わたしが楽しい?」


「はい! 一緒にいるとすごく楽しいですよ?」


「それは……わたしが変態だから……かな?」


「あはは! それもありますけど……国に帰っているみたいな感じになれるっていうか。すごく穏やかな気持ちになれるんです」


 やっぱり変態に関して否定はしないんだね。


「穏やかな気持ち?」


「はい。……そうだなぁ。上手く言えないけど……うーん。そうだ! お母さんと一緒にいるみたいな安心感ですかね?」


「お母さん……?」


 確かにわたしは、天族だからかなりの年上だけど……

 十代の振りをする姿に無理があったのかな?

 まさか、周りから『何この子、十代の振りをしているけど実際はかなりサバを読んでいるんじゃない? 』って思われていたとか?

 だとしたらかなり恥ずかしいよ。


「あ、同じ年なのに変ですよね。でも……頼れるだけじゃなくて、一緒いると安心するっていうか……やっぱりお母さん……うーん?」


 年齢詐称は、ばれていないみたいだね。

 ベリアルが『母親』として創り出したのが『わたし』なんだよね?

 この世界はベリアルの為に創られた世界だから、この『人間と魔族の世界』にいる生き物がわたしを母親みたいだって思う……とか?

 まだルゥだった頃に攻めてきた魔族が、大切に想ってくれるようになったのもそのせい?

 ……そう考えれば辻褄が合うよね。

 わたしを殺しに来た魔族が一瞬でひざまずいたのはどう考えても不自然だったし。

 じゃあ魔族も人間も、わたしが『ベリアルに創り出された母親のような存在』だから無意識に仲良くしてくれているって事なのかな?

 だとしたら悲しいよ……

 皆は『わたし』じゃなくて『遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さん』を大切に思っているって事なのかな?


(ぺるみ様……それは違いますよ?)


 ゴンザレスが心配そうにフヨフヨ飛んで来てくれたね。


(オレ以外にぺるみ様の過去を知る魔族は、ほぼいないはずです。いくら長生きの魔族だとしてもこの世界ができた頃から生きている者は珍しいですからね)


 ……ゴンザレス?


(つまり、ぺるみ様の大切な『家族や友』の魔族はぺるみ様を好きになったから仲良くしているんです。オレは遥か昔のぺるみ様の心を聞いていましたけど……それとは関係なくぺるみ様が大好きですよ?)


 ゴンザレス……

 また気を遣わせちゃったね。


(気を遣ってなんていませんよ? ぺるみ様が笑っているとオレも嬉しいし、悲しそうにしているとオレも悲しいんです)


 ……ありがとう。

 ゴンザレスは優しいね。


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