表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/1484

吉田のおじいちゃんと天界(12)

「ははは。天ちゃんは天ちゃんだなぁ」


 吉田のおじいちゃんがヘスティアに縛られたお父様の紐を解いてあげている。


「あら? わたし以外には解けないはずなのに。さすが初代の神ね」


 ヘスティアが驚いているね。


「そうか、そうか。尊敬してくれてもいいぞ? ははは」


 おぉ……

 おじいちゃんは、ご機嫌だね。


「ペルセポネ……さっきのあの話。もしかして魚族長がポセイドンの息子という事かしら?」


 お母様は気づいたんだね。


「なんとなくだけど……そう思ったの。魚族長は魚人族だけど陸に上がれなかったの。ハデスが呪いを解いたら陸に上がれるようになったんだよ?」


「そうよね……あら? じゃあ、ハデスならペルセポネの呪いを解けるんじゃないかしら?」


「あぁ、試してみたがダメだった。わたしは魚族長の呪いは先代の神の腹いせの呪いだと思っていたのだ。だから同じ血を引くわたしなら呪いを解けると考えた。だが、実際は弟のポセイドンのかけた呪いだったようだな」


 ハデス?

 先代の神の腹いせってなんだろう?

 今はそこじゃないか。

 

「じゃあ、ポセイドンが呪いをかけたの? どうしてそんな事を……」


「優しさ……だったのかもしれないな。陸に上がる事ができれば魚族ではなく魚人族として過ごしていただろう。魚人族は血の気が多いからな。穏やかな魚族の中で過ごせるようにしてやったのだろう」


「今の話を魚族長にしたら……赦してくれるかな? ううん。違うね。赦すとか赦さないとかの話じゃないんだよね。口では赦すって言っても……心で赦そうって思っても、完全になんて赦せないよね? 今までいろんな事があったんだから。でも……知って欲しいな。魚族長の事を考えてくれていたんだって」


「そうだな」


「わたしが話したらダメだよね。いつか……ポセイドンから話して欲しいな」


「あぁ……そうだな」


 ハデスが優しく微笑んでいる。

 ハデスは魚族長を大切に想っているからね。

 幸せになって欲しいんだよね?

 それにしても、まさか魚族長がいとこだったなんて。

 不思議な縁だね。

 ハデスが伯父だと知ったら魚族長は喜ぶかな?

 ヴォジャノーイ王だったハデスを尊敬しているから。

 でも、そんな単純な事じゃないよね……

 

「じゃあ……ペルセポネの呪いを解ける人をゼウスが探すのね……不安だわ? 不安しかないわ?」


 お母様が絶望の表情をしているね。

 気持ちはよく分かるよ?


「ええ? 大丈夫だよ! ちゃんとやれるよ! やればできるんだからっ!」


 おぉ……

 お父様のやる気が怖いね。

 いつも変な方に向かっていくからね……


 ううーん。

 どうしよう。

 たぶん、ピーちゃんだよね?

 海賊の魚人族が言っていたんだよね。

『シームルグの羽根は呪いを解いて傷を治す』って。

 さすがに羽根だけじゃ呪いも傷も治らないだろうけど。

 ピーちゃんが呪いを解く方法を知っているんだろうね。

 あの時、お父様は近くにいたよね。

 確か、かわいい人魚に会えるって喜んでいたけど実際は筋肉ムキムキの男性でがっかりしていたはず。

 確実にあの時の話を聞いていたよね。

 しかも、ついさっきの話だよ?

 すっかり忘れているんだか全く聞いていなかったんだか……

 

 吉田のおじいちゃんはお父様に呪いを解く方法に気づいて欲しいみたいだけど。

 永遠に気づかなそうだよ。

 あぁ……

 歯がゆい……

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ