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市場で(5)

「じゃあ、ペリドット様、オレ達はアカデミーの寮に戻ります」


 クラスメイトのジャック達が市場から寮に帰る準備をしているね。


「あ、わたしも魔術科に行かないと。えっと……クッキーとパンと……カルメヤキを包んでもらえるかな?」


 マリーちゃんとジャックにお土産を買ってくるって約束したんだよね。


「寮はアカデミーの近くだよな? 空間移動で一緒に連れて行ってやるよ」


 ベリアルがジャック達に話しかけているね。

 あの様子だと二代前の聖女の事は何も思い出していないみたいだね。

 さっきのおばあさんの話がチェルシーちゃんに関係あるって気づいていないだけかな?

 わたしも断片的に思い出すくらいだし……

 うーん。


(ぺるみ様、大丈夫ですか?)


 ゴンザレスが心配して話しかけてきたね。


 うん。

 ありがとう。

 さっきの話ってやっぱりチェルシーちゃんの事だよね?


(そうだとは思いますが……ぺるみ様、魔術科に行くのは明日にしませんか? 体調が心配です。最近は色々ありすぎてお疲れのようですし)


 ありがとう。

 でも、約束したから。

 それに、アカデミーにいられるのもあと二か月だから、後悔の無いようにしたいの。


(そうですか……では、疲れたらすぐに帰りましょうね? 約束ですよ?)


 ふふ。

 ゴンザレスは優しいね。

 うん。

 約束だよ?


 あ、ベリアルの事だけど……

 吉田のおじいちゃんから全部聞いたんだよね?

 いつも通りに見えるけど心は平気そうかな?


(……そうですねぇ。辛い気持ちはありますが、今までぺるみ様に全てを押し付けてきたようで申し訳ないと思っているようですね)


 そう……

 もっと耐えられないんじゃないかと思ったけど安心したよ。


(そうですね。ぺるみ様……あの……)


 ん?

 どうかした?


(あの時……ぺるみ様のお身体が透明になった時……本当に怖かったんです。このままぺるみ様に二度と会えなくなるんじゃないかって)


 ゴンザレス……

 わたしも怖かったよ?

 このまま消えちゃったらどうなるのかなって……


(オレ……これからもずっとずっとぺるみ様と一緒にいたいです。お願いだから無理だけはしないでください)


 ……うん。

 ゴンザレスがいてくれて心強いよ。

 ありがとう。


(ぺるみ様……)


「ほら、ぺるみ行くぞ? お金はオレが払っておいたからな」


 ベリアルが財布を持ちながら飛んできたね。

 ん?

 んん!?


「それ……! その財布っ!」


 ヒヨコの形をした財布だ!

 超絶かわいいよっ!


「ばあちゃんが作ってくれたんだ。えへへ。かわいいだろ」


「いいなぁ! いいなぁ! わたしも欲しいよ」


「ええ? ぺるみとお揃いなんて嫌だから違う形にしてもらえよ」


「えええ!? 嫌だよ。お揃いがいいの!」


「ダメだ! ぺるみは変態だからダメだ!」


「嫌だよ! 絶対にお揃いがいいの!」


「全く……ぺるみはどれだけオレの事が好きなんだよ……」


 ベリアルが呆れているね。

 でも……


「えへへ。いっぱい大好きだよ? 世界中がヒヨコでいっぱいに埋め尽くされたとしても、すぐにヒヨコちゃんを見つけ出せるくらい大好きだよ」


「……! 変な奴だな……本当に……変な奴だ……」


 口ではあんな事を言っているけど、少し嬉しそうな顔をしているね。

 それにしても……


「ぐふふ。世界中がヒヨコでいっぱい……ぐふふ。堪らないね、こりゃ」


「……うわぁ。酷いにやけ顔だな……気持ち悪っ」


 酷いにやけ顔?

 だって、想像したらすごく幸せな気持ちになったんだもん。

 我慢なんてできないよ。

 ぐふふ。

 呆れているベリアルも超絶かわいいよっ!


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