止められた時の中で(2)
「そう……それなら風と土の力では攻撃されていないのね」
おばあちゃんが真剣な表情で考えているね。
「今、火と風の力で濡れた服を乾かしたけどこれは攻撃なのかな?」
どこまでが攻撃になるんだろう。
「そうね……試してみましょう。では、風であの木の葉だけ揺らしてみて?」
「うん。あの木だね……」
これで揺れたら攻撃された力を吸収するっていう考えが変わりそうだけど……
でも火と同時に使ったから攻撃になるのかな?
「あぁ……揺れたわね」
「……うん。自然の風じゃなさそうだね」
「土の力では今までは攻撃されていないのよね?」
「え? あぁ……うん。そのはずだけど……」
「わたくしの足元に小さな土の山を作れるかしら?」
「小さな土の山……? うん。分かった。小さな……土の山……と」
あれ?
土がどんどん集まってくる?
土では攻撃された事は無いはずだけど。
「……おかしいわね。どういう事かしら? なぜ土の力を使えるの……?」
「土か……畑仕事で頭から土を被った事があったけどあれも攻撃になるのかな?」
「……これでは、なぜペルセポネが力を使えるのか理由が分からないわね。困ったわ? 生まれつき全ての属性の力を持っていたわけでもないでしょうし……」
「今まで受けていない攻撃をされないといけないって事?」
そんな力があるのかな?
うーん……
「星治の闇の力……は、まだよね」
「え? あぁ……ルゥの時は攻撃を受けたけど……ペルセポネに戻ってからは無いね」
「でも、あの闇の力は危険だから絶対にダメね」
「……お父さんのあの闇の力は遥か昔の吉田のおじいちゃんの息子さんの力なんだよね? すごく怖かったよ」
「そうね……あの時の星治は、かなり怒っていたから」
「吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが仲良くしていたから怒っちゃったんだよね?」
「ええ……そうだったわね……口に出されると恥ずかしいわね」
「……おばあちゃんは……幸せ?」
「ふふ。遥か昔のウラノスはわたくしを妻としては愛していなかったから……今は幸せよ」
「そっか……」
「まぁ……とにかく、ペルセポネは上位精霊の力が無くても魔術が使えるようだから気をつけるのよ?」
「うん。おばあちゃん……わたしの心を聞く力を使えなくしてくれるかな? まだ上手くコントロールできないみたいだから」
「もちろんよ。この力は他人の悪意が分かってしまうからかなり辛いのよ。ペルセポネには耐えられないわ」
「ありがとう。この事はおばあちゃんにしか話せないから助かるよ。吉田のおじいちゃんにも気づかれないようにしないと……」
「そうね。ウラノスは自分の心を聞かれる事を嫌がるでしょうからね」
「おばあちゃんには吉田のおじいちゃんの心が聞こえてくるのかな?」
「ふふ。そうね……でも……それはウラノスには言えないわ」
「……遥か昔の吉田のおじいちゃんの心の声を聞いて……辛かったんだね」
「……ウラノスの、わたくしや生まれてきた子供達への感情を聞いた時には……酷く傷ついたわ」
「……心の声を聞かないようにしなかったの?」
「……聞かないようにしていたわ。でも……あまりに強い感情で……聞こえてきてしまったの」




