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やっぱり他人の心の声なんて聞きたくないよ

「あ……ちょっと寝不足なのかも……あはは……」


 さすがに心の声が聞こえるなんて言えないよ。

 誰かに心を聞かれるなんて絶対に嫌だからね。


「そうでしたか……」

(あぁ……心配だ)


「顔色が悪いですよ?」

(ずっと冥界にいて欲しいのに……あぁ……行かないで欲しい)


「ペルセポネ様……少し寝ていけば……そうだ、そうしよう!」

(毎日ペルセポネ様に撫でてもらうんだ!)


 ケルベロスは優しいね。

 口から出る言葉と心の声の両方が優しいよ。


「ありがとう。でも、ベリアルと約束があるから……」


「そうですか……」

(残念だ……)


「またすぐに会えますよね?」

(ずっと一緒にいたいのに)


「困った事があれば大声で呼んでくれ!」

(どこにいたって助けに行くから)


「うん! えへへ。ケルベロスいつもありがとう」


 

 こうして第三地区に戻ってきたけど……

 うーん……

 やっぱり皆の心の声が聞こえるね……

 吉田のおじいちゃんに相談するべきか、おばあちゃんに相談するべきか。


 それにしても……

 第三地区の皆も口から出る言葉と心の声が同じだね。

 だから吉田のおじいちゃんも第三地区を気に入っているのかな。

 

(ペルセポネ……どういう事……? とりあえず、時を止めるわ?)


 おばあちゃんが慌てて時を止めてくれたけど……


「おばあちゃん……わたしにも分からないの。冥界でケルベロスの心の声が聞こえるようになって。ケルベロスが言うには少し前までは、ハデスの闇に近い力の匂いがわたしからしたらしいんだけど……今はすごく強い神力の匂いがするって」


「少し前はハデスちゃんの匂いがして……今は強い神力の匂い?」


「おばあちゃん?」


「あぁ……ペルセポネ……あなた、まさか……少し待って?」


「……? うん」


 おばあちゃんが魔法石が入れてある箱を持ってきたけど……?


「今から攻撃するけど……少し我慢してね? 火は危険よね……水なら乾かせば大丈夫かしら」


「え? 攻撃する!? わたしを!?」


 まさか……アカデミーで勉強をしないで遊んでいたからお仕置きとか!?


「違うわよ? ペルセポネはわたくしをそんな風に思っていたのね……まぁ、確かに群馬ではお説教を二時間正座でさせたりしていたわね。ペルセポネ……勉強はきちんとしないとね?」


「……はい。ごめんなさい……あの……やっぱりおばあちゃんも心の声が聞こえるんだね」


「ええ。そうよ……」


「……辛かったね。天界では特に辛かったんじゃないかな?」


 天族は差別が酷いし、自分より優れている相手への嫉妬心がすごいからね。


「……そうね。でも普段は聞こえてこないようにしているから大丈夫よ?」


「そんな事ができるの!? わたしもやりたいよ。第三地区の皆は平気だけど……アカデミーで人間の心の声を聞きたくないんだよ」


 優しい人間がわたしの事を心の中で悪く思っていたら……

 怖くて堪らないよ。


「その方がいいわね。いい? 聞きたくない声が聞こえてきたら耳に集中するのよ? そうすれば心の声が聞こえなくなるわ」


「耳に……集中?」


 耳に力を入れる……とか?

 うーん。

 できないよ……

 うーん?


「ふふ。だんだんできるようになるわ? 慣れるまではわたくしが聞こえなくするから安心して? さて……じゃあ、水の魔法石で軽く攻撃をするわよ?」

 

「え? なんで? 待って? 心の準備が……」


 やっぱりお仕置きなのかな?

 軽く攻撃って……どれくらい軽い攻撃なの!?


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