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どうして心の声が聞こえるの?

「ペルセポネ様!」

「ペルセポネ様だ!」

「あぁ……約束通りペルセポネ様が来てくれた……」


 冥界のケルベロスはかなり疲れきった顔をしているね。


「大丈夫? 疲れているみたいだね」


 ハデスの仕事を全部やらされているから疲れているんだね。


「なんとお優しい……うぅ……」


 ……泣いているね。

 かわいそうに……


「とりあえず、疲労回復の力を使って……よし。どうかな?」


「……! すごい! 疲れが取れた!」

「遠くまで見えるようになったぞ!」

「首の付け根が痛くなくなった?」


 ……これって良い事をしているようだけど実は無限に働かせようとしているような。

 でも喜んでくれているから黙っておこう。


「はい。プリンアラモードだよ?」


「おお! これが……」

「甘い匂いだ……癒される」

「あの……冥王様は?」


「ハデスは第三地区にいるはずだよ?」


「……! では……では、あの……食べさせて……」

「こら! ばれたら命がないぞ!?」

「いや、待て……死んだところで行き先は冥界だ。まさか……死んだ後もここで門番をさせられるのか? 死んだら疲れないのか? それとも……」


 ……普段からこんな悲しい会話をしているのかな。

 冥界のケルベロスは天族からかなり恐れられているんだよね?

 そのケルベロスが恐れるハデスって……とんでもなく怖いんじゃ?

 うーん……

 わたしだけでもケルベロスに優しくしてあげないと。


「今はハデスがいないから大丈夫だよ? はい。『あーん』して?」


 ケルベロスの三つの頭の瞳がキラキラに輝き始めたね。


「あぁ……幸せだ。ペルセポネ様に食べさせてもらえるなんて」

「プリンアラモード……最高だ」

「この事は冥王様には……」


 よほどハデスが怖いんだね。


「大丈夫だよ。絶対に言わないから。じゃあ、もう行くね? アカデミーに戻らないといけないの」


「そうでしたか。あの……気のせいかもしれませんが……神力が……」

「お前も思ったのか?」

「オレもそう思ったぞ?」


「え? 何かな?」


「今までの神力とは違うような……」


「……? それってどういう……?」


「何か変わった事はありませんでしたか?」


「変わった事?」


 吉田のおじいちゃんとおばあちゃんの神力が身体に入った事かな?


「よくは分かりませんが……ペルセポネ様……前から思っていたのですが……」

「そうだな……だが……」

「話すだけ話してみるか?」


「……? 何かな?」


「ペルセポネ様の神力が変化しているようなのです」


「……変化? えっと……それってどういう?」


「上手くは言えないのですが……少し前までは冥王様に似た神力……というか闇に近い匂い……? 今は、かなり強い神力の匂いがするのです」


「……神力の匂い?」


 神力に匂いがあるの?


(これ以上話していいのか?)


「え? 何を?」


 わたしには話しにくい事なのかな?


「……? え? 何がですか?」


 ん?

 あれ?

『何がですか』って?

 ……?

 

(ペルセポネ様? 『何を』とは何か訊きたい事でもあるのか?)


 ……え?

 待って……?

 今の声はケルベロス……だよね?

 どうしてわたしの頭の中に直接声が聞こえてくるの?

 ゴンザレスが話しかけてくる時と同じだよ?

 ケルベロスにもゴンザレスと同じ力があるとか?

 でも、そんな感じじゃなさそうだよね。


 頭の中にケルベロスの心の声が直接聞こえてきた……

 少し前までは、わたしからハデスの闇に近い力の匂いがしたって言っていたよね?

 そして今はかなり強い神力の匂い?

 それって、吉田のおじいちゃんとおばあちゃんの神力……?

 だから、おじいちゃんとおばあちゃんが使える心を聞く力がわたしにも使えるようになった?

 でも、どうして?


「ペルセポネ様? あの……?」


 ケルベロスの三つの頭が心配そうにわたしを見つめているね。


(お疲れなのか?)

(何か栄養のある食べ物を用意しないと)

(あぁ……今日もペルセポネ様はかわいい……)


 ……!?

 しっかり聞こえてくる……

 どういう事!?


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