おばあちゃんの秘密(8)
「そろそろ時を動かすわよ?」
おばあちゃんが優しく微笑んでいるね。
「うん。おばあちゃん……これからもずっと第三地区にいてくれるんだよね?」
いなくなったりしないよね?
「ふふ。ペルセポネは甘えん坊さんね。大丈夫よ? ずっとここにいるわ? 今度こそ子供達とウラノスと幸せに暮らすの……今度こそ」
「……うん。わたしもベリアルもおばあちゃんが大好きだよ? だから……これからも甘えていい?」
「もちろんよ。手放してしまった『あなた』を群馬で育てられて……すごく幸せだったのよ?」
「えへへ。わたしもおばあちゃんがいてくれたから幸せだったよ?」
「ペルセポネ……ふふ。では時を……」
「あ! 待って? 皆が動き出す前にベリアルをひと吸いさせて? スーハー。あぁ……幸せ」
「ん? うわあぁ! いつの間に抱っこして吸ってたんだ!? この変態め!」
あれ?
ベリアルが動き出したね。
「ぐふふ。イチゴのビキニ……堪らないね……スーハースーハー」
「気持ち悪っ! ばあちゃん! ぺるみが変態だよぉ!」
「ああっ! またおばあちゃんに言いつけたね!? スーハー」
「こいつ……まだ吸ってる……気持ち悪……」
「ははは! ベリアルとぺるみは仲良しだなぁ」
おばあちゃんが嬉しそうに笑っているね。
あぁ……
おばあちゃんが、わたしとベリアルがケンカをしても笑っていたのは『手元に置けなかった子』が賑やかにしているのが嬉しかったからなんだね。
「ぐふふ。仲良し……ぐふふ」
「気持ち悪っ! 全然仲良しなんかじゃないっ!」
「んもぅ……恥ずかしがりやさんなんだから」
「違ぁぁぁぁう! オレは本気で言ってるんだ!」
「ぐふふ。ぷりぷり怒るヒヨコちゃんも激かわだね」
「……はぁ。もう勝手にしろ。何を言っても無駄なのは分かった……」
「ぐふふ。観念したヒヨコちゃんも堪らないね。あ、お父様と冥界のケルベロスにプリンアラモードを持って行くんだった。三十分後にアカデミーに出発だよね?」
「ん? そうだぞ。遅れたら連れて行かないからな」
「ぐふふ。ベリアルとの約束に遅れるなんてあり得ないよ。じゃあ、三十分後に広場に集合ね?」
「オレは風呂に入って綺麗にするんだから、もう吸うなよ?」
「お風呂あがりのフワフワのヒヨコちゃん……ぐふふ。堪らないね」
「……こいつ、更に変態になってないか?」
「え? わたしはずっとこうだよ? ぐふふ。最後にひと吸いして……スーハー。じゃあ行ってくるね!」
「こら! また吸ったな!? 全く……変態なんだから!」
あぁ……
ベリアルが、わたしの腕から飛んで逃げちゃったね。
三十分で帰って来ないといけないから、もう行かないとね。
その前に……
「ベリアル!」
「ん? なんだよ? もう吸わせないぞ!」
「大好きだよ! 今までもこれから先もずっとずっとベリアルがだーい好きだよ!」
「……! ば……ばか……勝手にしろ! ばーか! さっさと行かないと間に合わないからな!」
ふふ。
口では嫌そうな事を言っても顔は怒っていないね。
恥ずかしいのかな?
「うん! えへへ。いってきますっ!」
ベリアルは、吉田のおじいちゃんからどこまで聞いたのかな?
あの様子だと全ては聞いていないみたいだけど……
でも、想像していたより落ち着いているみたいで安心したよ。




