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ベリアルはついに真実を知ったんだね

「う……ん……? あれ?」


 わたし……どうしておばあちゃんの部屋で寝ているのかな?

 確かアカデミーで……

 あれ?

 そういえば、わたしの身体が透けて……

 夢……だったのかな?


 ……?

 何かモフモフした柔らかい……ぬいぐるみ? 

 ん?

 この匂いは……

 スーハースーハー

 間違いない!

 ベリアルだよ!

 ぐふふ。

 ベリアルを抱っこして眠る夢を見ているんだ。

 ぐふふふ。

 堪らないね、こりゃ。

 スーハースーハースーハー

 現実では絶対にあり得ない事だからね。

 夢の中だけど、がっつり吸わせてもらうよ!

 スーーハーー!

 鼻の中に羽毛が入り込む?

 夢……だよね?


「……お前……起きてるのか? 起きてるんだな? 良かった……」


 ん?

 ベリアルの優しい声?

 夢にしてはリアルだね。


「……ベリアル? ふふ。夢の中のベリアルは吸っても怒らないんだね。プリプリ怒る姿も激かわだけど……素直なベリアルもいいね。ぐふふ。堪らないね、こりゃ」


「……もう苦しくないか?」


「え? 苦しい? わたしが?」


「倒れて二時間も寝てたんだぞ?」


「……え? わたしが?」


 あぁ……

 夢じゃなかったのか……

 え?

 あれ?

 じゃあ……

 スーハースーハースーハー!

 今のうちにたっぷり吸っておかないと、こんなチャンスは、なかなかないからね!


「……お前……吸い溜めしてるのか……?」


「うんっ! だって次はいつスーハーさせてもらえるか分からないから!」


「……!? お前って奴は……はぁ……いつも通りのぺるみだな。安心した」


 ……?

 ベリアル?

 どうかしたのかな?


「ペルセポネ……もう大丈夫なのか?」


 ハデスが心配そうにわたしを見つめているね。

 

「うん……わたし……どうしたの? スーハー」


「アカデミーで倒れたのだ」


「……夢じゃなかったんだね。スーハー」


「ベリアルが……全てを知った……」


「……え?」


 全てを?

 ベリアルが吉田のおじいちゃんの息子さんの魂で、わたしを創り出したって事を?


「ぺるみのバカ……全部ひとりで背負い込んで……倒れるなんて……でも……オレはもっと大バカだ」


「ベリアル?」


 泣いているのかな?

 わたしの腕の中で小さく震えている?


「ぺるみは絶対に消えないから! オレが消えさせないから! だから安心しろ。これからはオレがぺるみを守るから」


「ベリアル……遥か昔の事を思い出したの?」


「……いや。全然思い出せないんだ。ぺるみは思い出したのか?」


「ううん。わたしも全部は思い出せないの。でも、所々ぼんやり思い出したりはするよ?」


「……オレと同じだ」


「ベリアルは全部を思い出したいのかな?」


「……怖いんだ。でも……思い出さないといけないと思うんだ」


「そう……誰から話を聞いたの?」


「……じいちゃんだ」


「そう……」


 吉田のおじいちゃんから……


「オレはぺるみとは違うから……じいちゃんの事を簡単には赦せない」


 簡単には……か。

 赦したいとは思っているんだね。

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