オレが初代の神の息子だったなんて(4)
今回はベリアルが主役です。
「大罪を犯したのだ。わたしは子を捨てるというあってはならない大罪を……罵ってくれ……その方が……心が楽なのだ……」
じいちゃんを罵れって……?
「……ぺるみは……じいちゃんを赦したんだな。それで心が痛かったのか? 赦してもらって心が痛かったのかよ!」
オレはぺるみみたいに優しくなんてないんだ!
ぺるみみたいには、なれないよ。
オレは何をしても赦してくれるぺるみとは違うんだ。
「……ペルセポネは……ペルセポネも……わたしのせいで苦労させてしまった。赦してもらえるはずがない。だが……ペルセポネはわたしにいなくならないで欲しいと言ってくれた。お月ちゃんが悲しむから……ペルセポネも悲しいから……わたしが……ひとりで寂しく過ごす姿を想像したくないと……ベリアルは、ずっと寂しく暮らして来たのに……わたしは……まだ第三地区にいるのだ……愚かだな……わたしは本当に愚かだ」
ぺるみは赦したのか。
ぺるみはどうして赦せたんだ?
優しいから……?
いや……そうじゃない。
オレには分かるだろう?
じいちゃんは……心からオレとぺるみを大切に想ってくれているんだ。
そんなの……ずっと前から分かっていただろう?
ヒヨコの姿で幸せの島に来てからじいちゃんはマンドラゴラの赤ちゃんとしてずっとオレの側にいてくれた。
第三地区で暮らすようになってからもじいちゃんとしていつもオレを見守って……甘やかしてくれて……
でも……
「……赦せないよ。オレは赦さない。でも……じいちゃんの事は……嫌いじゃない……でも……赦さない」
「ベリアル……」
「ぺるみは……消えないよな? オレが満足しなかったら消えなくて済むんだよな?」
「……それは……誰にも分からないのだ……」
「オレ……一番大事な心に蓋をするよ……」
「ベリアル……?」
「オレ……ぺるみの事が……大好きなんだ。愛してるんだ……でも……この心に蓋をするよ。そうすればオレは満たされないからぺるみは消えないはずだ」
「……ベリアル」
「オレ……ぺるみの所に行くよ……絶対にぺるみは消えないから……消させないから」
「ベリアル……」
これでいいんだ。
ぺるみが消えずに済むのならオレの気持ちなんてどうだっていいんだ。
ぺるみ……
待ってろ。
体調が良くなるまでずっと抱っこさせてやるからな。
もうこれ以上一人て抱え込ませないから。
過去はもう変えられないから……オレは……これからオレとぺるみが幸せに暮らせる方法を見つけないといけないんだ。
これ以上オレを庇ってぺるみに傷ついて欲しくないから……
もう守られてばかりのオレは終わりだ。
オレはもう恋心に蓋をするから……
ぺるみを守るんだ。
世界で一番大切なぺるみをオレが守るんだ。




