オレが初代の神の息子だったなんて(2)
今回はベリアルが主役です。
「……え?」
オレがペルセポネ様の人格を?
どうやって?
そんなの……
オレは知らないよ。
……あれ?
じゃあ……どうしてオレは今のベリアルの身体に入ったんだ?
ペルセポネ様は両親がいる身体で、どうしてオレはひとりぼっちのベリアルの身体に入ったんだ?
「ベリアル……わたしは……ペルセポネの魂が悪だと誤解していて……危険だと判断し手元に魂を置いたのだ。いつか、ペルセポネの邪悪な魂に耐えられる肉体が見つかるまで……と。そして魂の無かったペルセポネの身体に……」
「じゃあ……どうしてオレはひとりぼっちのベリアルの身体に入ったんだ……?」
「それは……清らかな魂のベリアルならば……どの肉体に入っても幸せになれるはずだと……全てわたしが間違っていたのだ。すまなかった」
「醜い身体で産まれた息子を捨てて……その息子に悪かったって反省して、魔族の姿でずっと側にいたんだよな? 確か……そう言っていたよな?」
「……そうだ。全てわたしが愚かなせいで……すまない」
「じいちゃんは……オレを……捨てたって事か?」
「……本当に……すまない……」
「そのせいでオレは……」
オレは醜い身体で産まれたから父親に捨てられた?
母親も……?
母親もオレを醜いから一緒になって捨てたのか?
「ベリアル……わたしは……どうかしていたのだ。ベリアルの母親は……ベリアルを愛していた……」
「……? なんだよそれ……そんなの嘘だ。愛してた? じゃあ、なんで助けに来てくれなかったんだよ! オレが苦しんでいた時になんで放っておいたんだよ……本当はキライだったんだろ!? オレなんて産まなきゃ良かったって……だから……捨てたんだろ? 今になって優しい振りなんてするなよ!」
「……ベリアル……本当に……すまなかった……」
「さっきから『すまない、すまない』って……謝れば何をしても赦されるのかよ! オレの……心にある傷を……消せるのかよ……無理だよ……無理なんだよ! もうオレの心は……治らないんだ……」
「……ベリアル」
「ぺるみは……全部知ってたのか?」
「……そうだ」
「なんでオレだけ聞かされなかったんだよ! ぺるみはかわいいけどオレはキライだからか!?」
「……ベリアル……それは……」
「ほら、やっぱりオレがキライなんだ」
「……」
ほら、話さなくなった。
オレがキライって事だ。
だからぺるみにだけ話したんだ。
ぺるみには両親がいて、オレはひとりぼっちで……
大切にされるのはいつもぺるみだけなんだ。
じいちゃんはいつでもぺるみを一番かわいがっていたんだ。
オレの事なんてキライだったんだ。
「オレは……今までもこれからもずっとひとりぼっちなんだ……」
「ベリアル……それは違う。話したのだ。だが……ベリアルはそのせいで心を……」
「……また嘘をつくのかよ! オレはそんな話は聞いてない!」
「ベリアル……それは……わたしが記憶操作したからだ」
「……? 記憶操作……?」
「ペルセポネとベリアル……そして第三地区の皆に話した。だが……ベリアルはその為に心を痛めて……記憶を消すしかなかったのだ。だが……慌てていた為かペルセポネの記憶が蘇ってしまい……」
「……オレにも……話した? でも……」
オレはそんな話は聞いてないよ。




