表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

597/1484

オレはぺるみが羨ましかったんだ……オレが持っていないものを全部持っていたから

今回はベリアルが主役です。

 じいちゃんはどこにいるんだろう?

 気配をたどるか……

 うーん。

 この家にはいないみたいだな。

 天界か?

 ……あ、幸せの島からじいちゃんの気配がする。

 よし、行ってみるか。


 空間移動で行ってもいいけど……

 オレはダメだな……

 ここまで来てまだ真実を知るのを先延ばしにしたいなんて。

 こんなだからぺるみに男として見られないんだ。

 ハデスを見る時のぺるみは、すごくキラキラした瞳をしているんだ。

 本当に大好きなんだろうな。

 ハデスはいつも堂々として真っ直ぐで……

 オレとは大違いだ。


 第三地区と幸せの島を繋ぐ海水を固めた橋を渡ると……

 あ、じいちゃんだ。

 ……? 

 何をしてるんだ?

 何も無い砂浜をじっと見つめている?

 声をかけにくいな……

 真剣な顔をしてるし。

 

「ん? ベリアルか……」


 あ、気づかれたか……

 あれ?

 悲しそうな顔をしている?


「じいちゃん? どうかしたのか? どこか痛いのか?」


「んん? いや……ベリアルはどうした?」


「あぁ……えっと……ぺるみはゼウスが神力が滞っているのを治してくれたから……」


「……そうか、そうか。それじゃあ、もう大丈夫だなぁ」


「でも……強い神力が二つ入り込んでいたみたいで。それを誰がしたのかは分からないらしくて」


「……強い神力が二つ? 天ちゃんがそう言ったんか?」


「え? うん。透明になったのもオレのせいじゃないかもって……なぁ、じいちゃん……オレ……何も知らなくて……皆は知ってるのにオレは……怖くて聞けなくて……でも……知らないといけないんだよ。オレに教えてくれないか? ぺるみがオレに吸収されるってどういう事なんだ?」


 怖いけど聞かないといけないんだ。


「……ベリアル。そうか、そうか。偉いなぁ……勇気を出せたんか」


「……じいちゃん……オレ……ぺるみが羨ましかったんだ。いつも皆から愛されて大切にされて。魔王の娘で神の娘だから皆が大切にしてるんだと思ってたんだ。何の苦労もしないでぬくぬくと毎日楽しく暮らしてきたんだろうって……遥か昔のペルセポネ様もそうだ。神の娘で守られて愛されて両親もいて……幸せなんだろうって思い込んで」


「……ベリアル」


「でも違ったんだ。ぺるみはずっと苦しかったんだ。遥か昔のペルセポネ様の時もグンマのルミの時もルゥの時も……ずっと苦しんでいたんだ。それなのにオレはぺるみを羨ましがって……家族がいて羨ましい……仲間がいて羨ましいって……オレはずっとひとりぼっちだったのにって……」


「……ずっと……ひとり……」


「教えてくれよ……オレがぺるみを吸収するってなんなのか……じいちゃん……」


「……ベリアル……じいちゃんは……今……どこに二代前の聖女を埋葬しようか考えてたんだ」


「……? じいちゃん?」


「かわいそうに……何千年もあの子は腐ったまま……あの洞窟に……」


「じいちゃん……」


「ベリアル……思い出せ……あの時の事を」


「……? じいちゃん?」


 あの時の事?

 どの時の事だ?


「遥か昔……じいちゃんとベリアルは二人でこの島で暮らしていただろう?」


「え……?」


 何を言っているんだ?

 遥か昔に?

 オレが幸せの島に来たのは最近だよな?

 遥か昔になんて来ていないのに。


「ベリアル……この島に……聖女を埋葬しよう。遥か昔……ベリアルがやり残した事を今するんだ」


「……? じいちゃん?」


 どうしちゃったんだ?

 じいちゃんが変だ。

 いつも変だけど、それとは違う。

 オレがじいちゃんとここで暮らしていた?

 ……何の事だかオレには分からないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ