ぺるみが消えるなんて……そんなのダメだ
今回はベリアルが主役です。
ぺるみが寝ている、ばあちゃんの部屋に行くと中から苦しそうなぺるみの声が聞こえてくる。
「あぁ……ペルセポネ、お父様が滞っている神力を流すからね」
ゼウスが来たのか。
あれでも一応神だからな。
これでぺるみの体調不良が治ればいいけど……
「ゼウス……ペルセポネはどうだ?」
ハデスの心配そうな声が聞こえてくるけど……
今は部屋に入らない方がいいのかな?
「どうしてこんな事に……? 二つの強い神力が身体に入り込んだみたいだけど……」
ゼウス……?
二つの強い神力って?
「それでペルセポネはどうなのだ? もう心配はいらないのか?」
ハデスは本当にぺるみが心配なんだな。
「神力は落ちついたけど……急に倒れたんだよね?」
「あぁ。そうだ。昼食後に歩いていたら突然倒れて……」
「あの……ハデス様……その事でお話が……」
ゴンザレス?
ゴンザレスも中にいるのか。
「……なんだ? どうかしたのか?」
「はい。それが……ぺるみ様がベリアルに触れると……ぺるみ様のお身体が透明になって……」
「……!? なんだと!? それは事実か!?」
「はい。それで……ベリアルから手を離すと身体に色が戻って、その後すぐに倒れて……」
「ベリアル……やはり……ベリアルがペルセポネを吸収しようとしているのか?」
え?
ハデスは何を言っているんだ?
オレがぺるみを吸収するって?
「いえ……あの……ぺるみ様が倒れたのは……吸収と言うよりは……精神的にショックを受けたと言うか……その……」
「精神的に……? どういう事だ?」
「あぁ……あの……倒れた時に……聞こえてきて……」
「何が聞こえたのだ? ゴンザレスはペルセポネの近くにいたから何かが聞こえたのか?」
「あの……はい。それが……『消えたくない』と。自分がいなくなったらハデス様やご家族が悲しむのではないかと……」
「……! ペルセポネ……こんな時にまで周りに気を使うとは……」
「あの……ハデス様、ゼウス様……二つの神力とは、ベリアルとぺるみ様の魂の事でしょうか?」
ゴンザレス?
オレとぺるみの魂?
何の事だ?
「……いや……違うみたいだよ。もっと強い神力だったよ。ペルセポネもかなりの神力があるけど、それよりも強い神力がほぼ同時にペルセポネの身体に入り込んだんじゃないかな? だからペルセポネの神力が上手く流れなくなったんだ」
「ゼウス……それは……では、倒れたのはベリアルの件とは無関係なのか?」
ハデスの声が震えているな。
……オレの件ってなんだ?
「うーん。ベリアルの神力とも違ったけど……でも、身体が透明になったんだよね? ゴンザレスが見間違えたんじゃなくて、本当に透明になったの?」
ゼウスは天界にいて見ていなかったのか。
「それはわたしも第三地区の水晶から見ていたわ。確かに消えそうになったの。その後ベリアルから手を離すと元に戻って……」
デメテルもオレに触ったからぺるみが消えそうになったって言っている?
一体何の話なんだよ?
まさか……
オレのせいでぺるみが消える……?
でも、どうして?