ぺるみがいなくなるかもなんて考えもしなかった
今回はベリアルが主役です。
「……オレ以外は皆知ってるのか? ぺるみはそんなに酷い状態なのか?」
どうしてオレにだけ秘密にしたんだ?
「ベリアル……どうする? どうして、ぺるぺるが苦しんでいるかを知りてぇか?」
じいちゃん……
いつもはふざけているのに、すごく真剣な顔だ。
「……聞きたくない……オレは聞きたくないよ。怖いよ。怖いんだ。もしぺるみが死んじゃう病気なら……聞きたくないよ」
「……そうか。じゃあ……聞かなくていい。聞くか聞かねぇかはベリアルが決める事だ。無理に聞かせようとは思わねぇさ」
「じいちゃん……?」
「……でも、これだけは分かっておけ? 全部じいちゃんのせいだ……でも……これは、ぺるぺるが一人で背負い込む事じゃねぇんだ。ベリアル……このまま逃げ続けるんか? 本当にそれでいいんか?」
「逃げる? それってどういう意味だ……?」
ぺるみの病気とオレがそれを知らない事に何か関係があるのか?
「とりあえず、ベリアルはぺるぺるに触るな?」
「え? どうして……?」
「……それは……ベリアルには話せねぇなぁ。ベリアルは知りたくねぇって決めたんだ。アカデミーもしばらく休む事になりそうだからなぁ……護衛も必要ねぇし。ベリアルはゴンザレスと旅行でもしてくるといい」
「え? 旅行? ぺるみがこんな時に旅行になんて行けないよ。オレもぺるみの近くに……」
「……ベリアル。今はベリアルがぺるぺるの近くにいてもなぁ……とりあえずゴンザレスと旅行してこい。その方がぺるぺるの為になるんだ」
「ぺるみの為に……? オレは邪魔……なのか?」
やっと居場所を見つけられたと思ったのに……
またオレは一人ぼっちになるのか?
……あぁ、そうか。
オレがここにいられるのはぺるみがヒヨコの姿のオレを大切にしてくれたからだった。
ぺるみがいなくなったらオレはもうここには、いられないのか。
だから、じいちゃんはオレを追い出そうとしているのか。
……結局オレは……天界にいた時と同じで誰にも愛されてはいなかったんだ。
第三地区の皆はぺるみの事が大好きだから、ぺるみが大切にしているオレを好きな振りをしていたんだ。
……バカだな。
オレは大バカだ。
皆がオレを家族みたいに思ってくれているって勘違いして……
ゴンザレスだって、ぺるみに助けられたからここにいるんだ。
オレを家族みたいに思っているわけじゃないんだ。
……誰かの口からそう言われる前に出て行こう。
大好きな誰かの口から言われたら辛すぎてもう生きてはいられないから……
また、ひとりぼっちか。
ここにいた時間が幸せすぎてひとりの生活に耐えられそうに無いけど……
でも……
ぺるみが苦しむ姿を見たくないのもあるし……
やっぱりオレは出て行くよ。
誰もオレなんて捜しには来ないんだろうな。
結局オレは嫌われてたって事か。
オレを大切に思ってくれていたのはぺるみだけだったんだ。
それなのに、オレは苦しんでいるぺるみに何もできないんだな。
これでいいのか?
本当にこのままでいいのか?
ずっとオレを大切にしてくれたぺるみを置いて、オレは逃げるのか?




