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マクスは、女心がまるで分かっていないんだね(3)

「……マクス。あの……ペリドットの言う通りだよ。次からは狩り場に行く時は気をつけた方がいい」


 レオンハルトもマクスを心配しているね。


「え? 殿下までどうしたんですか? ははっ」


『ははっ』じゃないよ。

 本当に狩られちゃいそうで心配になってきたよ。


「……マクスは今までよく生き延びてきたよ。これからは、デートの後には報告するんだよ? ……いや、デートにこっそり付いて行った方が……」


 レオンハルトも大変だね。

 

「え? 殿下もデートに興味があるんですか? やっぱり年頃の男の子なんですね。あはは」


「……いや、令嬢がマクスを本気で消そうとしているのかが気になってね」


「え? 何を消すんですか?」


 ……マクスは鈍感なのか純粋なのか分からないね。


「……この話は終わりにしよう。かわいそうになってきた……」


「え? 何がカワウソなんですか?」


 ……レオンハルトは本当に大変だね。


「ぷっ。ぎゃははははは! マクスは本当にバカだなっ!」


 ……!?

 ベリアル!?

 いつの間にか帰ってきていたんだね。

 アメリアちゃんとココちゃんが同情の瞳でマクスを見つめているよ。

 今の話を聞いていたんだね。


「ちょっと……ヒヨコちゃんは笑いすぎだよ? そんなに笑ったら失礼だよ?」


「だって、マクスがバカだから……ぎゃははははは!」


「ちょっと……かわいそうだから笑っちゃダメだよ」


「いいか? 恋愛マスターのオレが教えてやろう」


 え?

 ベリアルは恋愛マスターだったの?

 

「え? 何を? って言うか恋愛マスターって?」


 マクスが首を傾げているね。


「まず、二日間も腹が痛いはずがないだろう! 紙が無くて拭けなかったんだ! そういう時は一時間して戻ってこなかったらトイレに行ってこう言うんだ。『お尻を拭く紙を買ってきたからな。お金は返さなくてもいいぞ。もし流れないくらい、でかいのをしたなら詰まりを取る道具を借りてきてやるぞ』ってな」


 ……!?

 一番ダメなやつだよ!


「なるほど。気遣いが足りなかったのか。でも、オレは女便所に入れないからな……どうしたら?」


「そんなのは簡単だ。今のセリフを大声で外から叫ぶんだ」


「なるほど。それなら聞こえるか。じゃあ紙はどうやって渡したら?」


「その辺にいる女性に渡してもらえばいいんだ。いいか? 頼み事をするんだからちゃんとお願いするんだぞ? 『オレの婚約者がでかいのをして流れなくなってるかもしれないから助けて欲しい』ってな」


「なるほど。そうすれば良かったのか」


 マクスが納得した!?

 嘘でしょ!?

 しかもベリアルは本気でそう考えているみたいだよ?

 これがこの世界の恋愛マスターなの!?


「そうだぞ! 次から困ったらオレに訊け? オレは恋愛マスターだからな。あはは!」


 ……わたしは絶対にベリアルにだけは相談しないよ。

 でも……

 得意気なヒヨコちゃんも超絶かわいいね。

 ぐふふ。

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